鳥海月山両所宮

鳥海月山両所宮
住所 〒990-0057 山形県山形市宮町3丁目8−41
公式サイト http://www.pref.yamagata.jp/cgi-bin/yamagata-takara/?m=detail&id=1864

鳥海月山両所宮完全ガイド|歴史・文化財・御朱印・アクセス情報

鳥海月山両所宮とは

鳥海月山両所宮(ちょうかいがっさんりょうしょぐう)は、山形県山形市宮町に鎮座する歴史ある神社です。地元では「お宮様」「りょうしょのみや」として親しまれ、山形市旧市街地北部の宮町という町名の由来にもなっています。

旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。別称として「吉事宮」「武門吉事宮」とも呼ばれ、武運と五穀豊穣の神として崇敬を集めてきました。

鳥海山の神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)と、月山の神である月夜見命(つきよみのみこと)を祀ることから「両所宮」の名がつけられています。この二柱の神を同時に祀る神社は全国的にも珍しく、出羽国の信仰の歴史を今に伝える貴重な存在です。

鳥海月山両所宮の歴史と創建由来

源頼義による創建と前九年の役

鳥海月山両所宮の創建は平安時代中期、康平6年(1063年)に遡ります。社伝によれば、「前九年の役」において奥州平定の命を受けた源頼義・義家父子が、鳥海山と月山の神に戦勝祈願を行ったことが始まりとされています。

源頼義は出陣に際し、飽海郡吹浦(現在の遊佐町)の鳥海山大物忌神社と月山神社に対して「戦に勝利した暁には、新たに神廟を建立する」と誓いを立てました。見事に戦勝を果たした頼義は、その約束を果たすべく、山形の地に両所の分霊を勧請し、社領1万石を寄進して神社を創建したと伝えられています。

この創建伝承は、源氏と出羽国の深い結びつき、そして山岳信仰が武士階級にも広く浸透していたことを示す重要な歴史的証拠となっています。

中世から近世への発展

鎌倉時代以降も、鳥海月山両所宮は歴代の権力者から篤い崇敬を受けてきました。特に戦国時代から江戸時代初期にかけて、出羽国を治めた最上義光は当社を深く信仰し、天正19年(1591年)には成就院を移築して別当寺としました。

江戸時代には徳川幕府からも御朱印社領を受け、出羽国における有力神社としての地位を確立します。この時期に現在見られる社殿の多くが建立・整備され、江戸時代中期から後期にかけて建築された随神門や本殿は、当時の建築技術の粋を集めた傑作として今日まで大切に保存されています。

明治以降の変遷

明治時代の神仏分離令により別当寺であった成就院は廃され、神社としての独立した形態となりました。近代社格制度では県社に列格し、山形県を代表する神社の一つとして認められています。

戦後は神社本庁の別表神社に指定され、地域の信仰の中心として、また山形市の重要な文化遺産として現在に至っています。

境内の見どころと文化財

随神門(県指定有形文化財)

鳥海月山両所宮の随神門は、山形県指定有形文化財に指定されている貴重な建築物です。江戸時代中期の建築様式を色濃く残し、精巧な彫刻と重厚な構造が特徴です。

随神門は神社の正面入口に位置し、参拝者を迎える最初の建造物として威厳ある姿を見せています。左右には随神(門を守護する神)が安置され、悪霊の侵入を防ぐ結界としての役割を果たしています。

建築様式は三間一戸の八脚門で、屋根は入母屋造り、銅板葺きとなっています。柱や梁には精緻な彫刻が施され、江戸時代の宮大工の高度な技術を今に伝えています。

本殿(山形市指定有形文化財)

本殿は山形市指定有形文化財に指定されており、江戸時代後期の建築と推定されています。神明造りを基調としながらも、装飾的要素を取り入れた独特の様式が特徴です。

本殿内部には鳥海山の神である倉稲魂命と月山の神である月夜見命が祀られており、両神を同時に奉斎する全国的にも珍しい形態を保っています。建物の細部には当時の信仰の様子を示す装飾や彫刻が残されており、文化財としての価値が高く評価されています。

城輪神社社殿(山形市指定有形文化財)

境内には摂社である城輪神社が鎮座しており、その社殿も山形市指定有形文化財となっています。城輪神社は古代出羽国の歴史と深く関わる神社で、地域の守護神として信仰されてきました。

社殿は本殿と同時期の建築と考えられ、小規模ながら精緻な造りが特徴です。本殿と調和した配置となっており、境内全体の景観を形成する重要な要素となっています。

境内の自然環境と湧水

鳥海月山両所宮は、馬見ヶ崎川扇状地の扇端部分に位置しており、豊富な湧水に恵まれた場所です。かつては山形城下の地中を流れる馬見ヶ崎川の伏流水が湧き出る場所であったとされ、清らかな水が神域の清浄さを保ってきました。

この湧水は後述する「穀様し」という作占い神事にも利用され、水の多寡が農作物の豊凶を占う重要な指標とされていました。現在でも境内には水の気配が感じられ、神聖な雰囲気を醸し出しています。

伝統行事「穀様し」について

穀様し神事の概要

鳥海月山両所宮で行われる「穀様し(こくためし)」は、山形市の無形民俗文化財に指定されている伝統的な作占い神事です。この神事は、その年の農作物の豊凶を占うもので、古くから地域の農業と深く結びついてきました。

「穀様し」という名称は「穀試し」を意味し、米をはじめとする五穀の収穫を事前に占う儀式として、農民たちの生活に欠かせない年中行事でした。

湧水を利用した占い方法

穀様し神事の最大の特徴は、境内の湧水を利用した占い方法にあります。前述の通り、鳥海月山両所宮は馬見ヶ崎川の伏流水が湧き出る場所に位置しており、この湧水の量の変化が作柄占いに活用されました。

伏流水の湧出量は地下水位や降水量と密接に関係しており、これが間接的に農作物の生育条件を反映すると考えられていました。神職は湧水の状態を観察し、その多寡から当年の豊凶を判断したとされています。

地域農業との関わり

この神事は単なる占いではなく、地域の農業カレンダーにおける重要な節目でもありました。穀様しの結果は村々に伝えられ、農民たちはそれを参考に作付けの計画を立てたり、水利の管理を調整したりしました。

現代では科学的な気象予測が発達していますが、穀様し神事は地域の伝統文化として継承され、農業と信仰の歴史を今に伝える貴重な無形文化財となっています。

御祭神と御利益

倉稲魂命(鳥海山の神)

倉稲魂命は、日本神話に登場する穀物・食物の神です。鳥海山大物忌神社の主祭神として古くから信仰され、五穀豊穣、商売繁盛、産業発展の御利益があるとされています。

「倉稲魂」という名は「倉に稲の魂が満ちる」という意味で、豊かな実りと食物への感謝を表しています。農業を基盤とする日本社会において、最も重要な神の一柱として崇敬されてきました。

月夜見命(月山の神)

月夜見命は、月を神格化した神であり、月山神社の主祭神です。夜を照らす月の神として、暦の管理、農業の時期判断、航海の安全などに関わる神とされてきました。

また、月の満ち欠けが人間の生活リズムや自然界の営みと深く関係していることから、健康長寿、家内安全、開運招福の御利益があるとも信仰されています。

鳥海月山両所宮の御利益

両神を同時に祀る鳥海月山両所宮では、以下のような御利益があるとされています。

  • 五穀豊穣・農業繁栄: 倉稲魂命の御神徳による豊かな実り
  • 商売繁盛・事業成功: 食物神としての産業全般への加護
  • 武運長久・勝負運: 源頼義の戦勝祈願の故事にちなむ
  • 家内安全・開運招福: 月夜見命による生活全般の守護
  • 厄除け・災難除け: 両神の強力な守護による邪気払い

特に「吉事宮」「武門吉事宮」という別称が示すように、良き事を招き、勝負事に勝利するという信仰が強く、受験合格や就職成功を祈願する参拝者も多く訪れます。

御朱印・授与品情報

御朱印について

鳥海月山両所宮では、参拝者向けに御朱印を授与しています。社務所の対応時間は午前9時から午後5時までとなっており、この時間内に御朱印をいただくことができます。

御朱印には「鳥海月山両所宮」の墨書きと社印が押され、参拝の記念として多くの参拝者に親しまれています。書体は力強く格調高いもので、神社の歴史と格式を感じさせる仕上がりとなっています。

オリジナル御朱印帳

鳥海月山両所宮では、オリジナルデザインの御朱印帳も授与されています。デザインには随神門や境内の風景があしらわれており、山形の歴史を感じさせる品となっています。

その他の授与品

社務所では御朱印のほか、以下のような授与品を取り扱っています。

  • お守り: 交通安全、学業成就、商売繁盛など各種
  • 御札: 家内安全、厄除けなど
  • 絵馬: 願い事を書いて奉納
  • おみくじ: 運勢を占う

いずれも神社の歴史と伝統を踏まえた品々で、参拝の記念や日々の信仰生活に役立てることができます。

アクセス・参拝情報

所在地

住所: 〒990-0057 山形県山形市宮町3丁目8-41
電話: 023-623-0460

公共交通機関でのアクセス

JR奥羽本線「北山形駅」から:

  • 徒歩約10分
  • 駅を出て北方向へ進み、宮町方面へ
  • 住宅街を抜けると随神門が見えてきます

山形駅から:

  • バス利用の場合は山形市内循環バスで「宮町」下車、徒歩3分
  • タクシー利用で約10分

自動車でのアクセス

山形自動車道「山形北IC」から:

  • 約15分
  • 国道13号線経由で市街地方面へ

駐車場:

  • 境内に参拝者用駐車場あり(無料)
  • 台数に限りがあるため、初詣など混雑時は公共交通機関の利用を推奨

参拝時間

  • 境内参拝: 24時間可能(夜間は照明が限られるため日中推奨)
  • 社務所対応時間: 9:00〜17:00
  • 御朱印授与: 社務所対応時間内

参拝所要時間

  • 通常参拝: 約20〜30分
  • 文化財をじっくり見学: 約45分〜1時間
  • 御朱印授与を含む: 約30〜40分

周辺の観光スポット

山形城跡(霞城公園)

鳥海月山両所宮から約2kmの距離にある山形城跡は、最上義光が居城とした平城です。現在は霞城公園として整備され、桜の名所としても知られています。

文翔館(山形県郷土館)

大正5年建築の旧県庁舎・県会議事堂で、国の重要文化財に指定されています。英国近世復興様式の美しい洋風建築を見学できます。

山形市郷土館(旧済生館本館)

霞城公園内にある明治時代の擬洋風建築で、重要文化財に指定されています。医学の歴史を学べる資料館となっています。

山寺(立石寺)

山形市街から車で約30分。松尾芭蕉の「閑さや岩にしみ入る蝉の声」で有名な古刹で、山形県を代表する観光名所です。

鳥海月山両所宮の年間行事

主な祭事

  • 元旦祭: 1月1日 – 新年の祈願
  • 節分祭: 2月節分 – 厄除け・豆まき
  • 春季例大祭: 4月 – 春の大祭
  • 夏越の大祓: 6月30日 – 半年の穢れを祓う
  • 秋季例大祭: 9月 – 秋の大祭、収穫感謝
  • 七五三詣: 11月 – 子どもの成長祈願
  • 年越の大祓: 12月31日 – 一年の穢れを祓う

穀様し神事

前述の作占い神事は、伝統行事として特定の時期に執り行われます。地域の無形文化財として、その継承が図られています。

山形市における鳥海月山両所宮の位置づけ

鳥海月山両所宮は、山形市の歴史と文化を語る上で欠かせない存在です。宮町という町名の由来となっていることからも、地域のアイデンティティの中心として機能してきたことがわかります。

山形市は「市長のやまがた自慢」として当神社を紹介しており、市を代表する文化遺産として位置づけています。源頼義による創建伝承、県・市指定文化財を有する建造物群、伝統的な穀様し神事など、歴史的・文化的価値の高い要素を多数備えており、山形市の観光・文化振興においても重要な役割を担っています。

地元では「お宮様」として親しまれ、初詣、七五三、厄除けなど人生の節目における参拝先として、また日常的な信仰の場として、市民の生活に深く根ざしています。

鳥海月山両所宮参拝のポイント

参拝の作法

  1. 随神門をくぐる前に一礼: 神域に入る際の礼儀
  2. 手水舎で清める: 左手→右手→口→左手の順
  3. 参道は端を歩く: 中央は神様の通り道
  4. 拝殿前で二礼二拍手一礼: 神道の基本作法
  5. 退出時も一礼: 感謝の気持ちを表す

おすすめの参拝時期

  • 春(4月〜5月): 新緑が美しく、春季例大祭も開催
  • 秋(9月〜10月): 紅葉の季節、秋季例大祭で収穫感謝
  • 初詣(1月1日〜3日): 新年の祈願に多くの参拝者

写真撮影について

境内での写真撮影は基本的に可能ですが、以下の点に注意してください。

  • 本殿内部など神聖な場所での撮影は控える
  • 他の参拝者の迷惑にならないよう配慮
  • 祭事中は撮影を控えるか神職に確認
  • 随神門や境内の風景は撮影可能

まとめ

鳥海月山両所宮は、平安時代の創建以来、約960年の歴史を持つ山形市を代表する神社です。源頼義の戦勝祈願という創建由来、県・市指定文化財の建造物群、伝統的な穀様し神事など、歴史的・文化的価値の高い要素を数多く備えています。

鳥海山と月山という出羽国を代表する霊山の神を同時に祀る全国的にも珍しい神社であり、五穀豊穣、商売繁盛、武運長久など多様な御利益で信仰を集めています。

北山形駅から徒歩10分というアクセスの良さ、社務所での御朱印授与、周辺の観光スポットとの組み合わせなど、参拝しやすい環境も整っています。山形市を訪れた際には、ぜひ足を運んでいただきたい歴史と伝統の神社です。

地元で「お宮様」として親しまれる鳥海月山両所宮は、山形の歴史と文化を体感できる貴重な場所として、これからも多くの人々に守り継がれていくことでしょう。

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