金倉寺

住所 〒765-0031 香川県善通寺市金蔵寺町1160
公式サイト https://www.kagawa-konzouji.or.jp/

金倉寺完全ガイド|四国88ヶ所第76番札所の歴史・ご利益・参拝情報

金倉寺とは

金倉寺(こんぞうじ)は、香川県善通寺市金蔵寺町に位置する天台寺門宗の寺院です。正式名称は鶏足山宝幢院金倉寺(けいそくざんほうどういんこんぞうじ)といい、四国八十八ヶ所霊場の第76番札所として、毎日多くの遍路の方々をお迎えしています。

本尊は薬師如来で、脇侍として日光菩薩・月光菩薩を安置しています。天台寺門宗の総本山である園城寺(三井寺)の末寺として、讃岐地方における天台宗の重要な拠点となっています。

金倉寺は単なる札所としてだけでなく、智証大師円珍の誕生地、乃木希典将軍ゆかりの寺、そして子授け・安産の神様「おかるてんさん」を祀る寺として、地元の人々から深く信仰され続けています。

金倉寺の歴史

創建と智証大師円珍

金倉寺の歴史は、天台宗の高僧である智証大師円珍(ちしょうだいしえんちん)と深く結びついています。円珍は弘仁5年(814年)、この金倉の地に生まれました。母は弘法大師空海の姪にあたり、円珍は空海の姪の子という血縁関係にありました。

幼少期から聡明で、教典を読み解く才能を示していた円珍は、霊感も強く、5歳の頃には訶梨帝母尊(かりていもそん)が現れたという伝承が残されています。この訶梨帝母尊こそが、現在「おかるてんさん」として親しまれている鬼子母神です。

円珍は後に比叡山で天台教学を学び、唐に渡って密教を修め、帰国後は延暦寺第5代座主を868年から24年間にわたって務めました。天台寺門宗の開祖として、また入唐八家の一人として、日本仏教史に大きな足跡を残しています。讃岐五大師の一人にも数えられ、その偉業は今日まで語り継がれています。

寺院の発展

金倉寺の前身は、原田の里にあった道善寺という寺院でした。円珍が自らの誕生地である金倉郷にこの寺を移転・拡大し、延長6年(928年)に金倉寺と改称したと伝えられています。

寺院は智証大師ゆかりの地として発展を遂げ、天台寺門宗の重要な拠点として機能してきました。四国遍路の札所としても古くから知られ、多くの巡礼者が訪れる霊場となりました。

乃木希典将軍との縁

金倉寺のもう一つの特徴は、明治時代の軍人である乃木希典(のぎまれすけ)将軍との深い縁です。明治31年(1898年)、旧陸軍第11師団の初代師団長として善通寺に赴任した乃木将軍は、約3年間にわたって金倉寺の客殿を仮住まいとしました。

師団長官舎の建設が遅れたため、その間乃木将軍は家族とともに金倉寺で生活しました。将軍は謹厳実直な人柄で知られ、金倉寺での生活も質素なものだったと伝えられています。

客殿には乃木将軍ゆかりの品々が展示されており(2020年以降公開は休止中)、境内には将軍の銅像も建立されています。この歴史的な繋がりは、金倉寺を「乃木将軍寓居の寺」として広く知られる存在にしています。

金倉寺の見どころ

本堂と本尊薬師如来

金倉寺の本堂には、智証大師円珍作と伝えられる薬師如来が本尊として安置されています。薬師如来は病気平癒や健康長寿のご利益で知られる仏様で、多くの参拝者が健康を願って手を合わせています。

脇侍として日光菩薩と月光菩薩が配されており、三尊形式で祀られています。本堂は四国遍路の巡礼者にとって重要な参拝場所であり、納経や読経が行われる中心的な場所となっています。

大師堂

大師堂には、弘法大師空海と智証大師円珍の両大師像が安置されています。この二人はともに「大師」の号を授かった高僧であり、讃岐五大師に数えられています。

特に智証大師は当寺の生誕地ということもあり、大師堂は多くの参拝者が訪れる重要なお堂となっています。遍路の方々は本堂とともに大師堂にも参拝し、納経を行います。

訶梨帝母堂(おかるてんさん)

金倉寺で特に地元の信仰を集めているのが、訶梨帝母堂です。ここに祀られている訶梨帝母尊は「おかるてんさん」の愛称で親しまれ、子授け・安産・子育ての守り神として古くから信仰されてきました。

訶梨帝母は鬼子母神(きしもじん)とも呼ばれ、もともとは他人の子を奪って食べる鬼神でしたが、お釈迦様の教化によって改心し、子供と女性を守護する神となったという伝承があります。

智証大師が5歳の時に訶梨帝母尊が現れたという縁起から、金倉寺では特別に篤く祀られています。現在でも安産祈願、子授け祈願、初宮参り、七五三などで多くの家族連れが訪れ、「おかるてんさん」に祈りを捧げています。

乃木将軍関連施設

境内には乃木希典将軍の銅像が建立されており、将軍の威厳ある姿を今に伝えています。客殿には将軍が実際に使用した品々や関連資料が展示されており(公開休止中)、明治時代の歴史を感じることができます。

乃木将軍が善通寺に赴任していた時期は、日露戦争前の重要な時期であり、将軍の軍人としての人格形成にも影響を与えた時代でした。金倉寺での質素な生活は、将軍の人となりを象徴するエピソードとして語り継がれています。

文化財

金倉寺は貴重な文化財を所蔵しています。特に重要なのが以下の二点です。

国指定重要文化財「絹本著色智証大師像」
鎌倉時代に制作されたこの肖像画は、智証大師円珍の姿を描いた貴重な作品です。天台寺門宗の開祖である円珍の面影を今に伝える重要な文化遺産として、国の重要文化財に指定されています。

善通寺市指定文化財「絹本著色両界曼荼羅」
室町時代の作とされるこの曼荼羅は、密教の世界観を表現した芸術作品です。金剛界と胎蔵界の両界を描いた曼荼羅は、密教美術の優品として市の文化財に指定されています。

これらの文化財は通常は公開されていませんが、特別な機会に拝観できることがあります。

金倉寺のご利益と信仰

子授け・安産祈願

金倉寺の最も大きな特徴は、「おかるてんさん」こと訶梨帝母尊による子授け・安産のご利益です。地元では妊娠を望む夫婦や妊婦が安産祈願に訪れる寺として広く知られています。

特に戌の日には多くの妊婦とその家族が訪れ、安産祈願を受けます。戌(いぬ)は多産でお産が軽いことから、安産の象徴とされており、妊娠5ヶ月目の戌の日に腹帯を巻いて安産を祈願する習慣が日本には古くからあります。

金倉寺では戌の日カレンダーを提供し、ご祈願の予約も受け付けています。安産祈願を受けた方には、お守りや腹帯などの授与品が用意されており、多くの方が無事な出産を報告に再訪されています。

子育て・家族円満

訶梨帝母尊は子供の守護神でもあり、子育ての悩みや子供の健やかな成長を願う参拝者も多く訪れます。初宮参り、七五三、入学祈願など、子供の成長の節目に金倉寺を訪れる家族も少なくありません。

「おかるてんさん」は女性と子供の守り神として、家族全体の幸せを見守る存在として信仰されています。

病気平癒・健康長寿

本尊の薬師如来は、医薬の仏として病気平癒や健康長寿のご利益があるとされています。特に慢性的な病気や体調不良に悩む方が参拝し、健康回復を祈願しています。

薬師如来の十二の大願には、衆生の病苦を除き、身体と心を健やかにするという誓いが含まれており、多くの参拝者が癒しを求めて訪れています。

四国遍路の功徳

四国八十八ヶ所第76番札所として、金倉寺は遍路修行の重要な場所です。四国遍路を巡ることで、煩悩を滅し、願いを成就し、心身の浄化を図ることができるとされています。

金倉寺は善通寺市内にある札所の一つであり、第75番善通寺、第77番道隆寺とともに、讃岐の霊場を構成しています。多くの遍路者が「お四国さん」として親しみを持って巡拝しています。

参拝情報とアクセス

基本情報

寺院名: 鶏足山宝幢院金倉寺(けいそくざんほうどういんこんぞうじ)
宗派: 天台寺門宗
本尊: 薬師如来
札所: 四国八十八ヶ所霊場第76番札所
住所: 香川県善通寺市金蔵寺町1160
電話: 0877-62-0845

拝観時間と料金

拝観時間: 7:00~17:00(納経所受付時間)
拝観料: 境内自由(無料)
駐車場: 無料駐車場あり(普通車約30台)

アクセス方法

電車でのアクセス

  • JR土讃線「金蔵寺駅」から徒歩約5分
  • JR土讃線「善通寺駅」から徒歩約15分

金蔵寺駅は金倉寺の最寄り駅で、駅から非常に近く便利です。善通寺駅からも徒歩圏内であり、善通寺市内の札所巡りと合わせて参拝することができます。

車でのアクセス

  • 高松自動車道「善通寺IC」から約5分
  • 国道319号線沿い、善通寺市街地から約2km

駐車場は境内に隣接しており、普通車であれば約30台分のスペースがあります。大型バスの場合は事前に連絡することをおすすめします。

徒歩遍路の場合

  • 第75番札所善通寺から約3.5km(徒歩約50分)
  • 第77番札所道隆寺まで約4km(徒歩約1時間)

善通寺市内の札所は比較的近距離にあり、徒歩遍路でも無理なく巡ることができます。

参拝の作法

四国遍路の札所として参拝する場合は、以下の作法で参拝します。

  1. 山門で一礼: 境内に入る前に山門で合掌一礼します
  2. 手水舎で清める: 手と口を清めます
  3. 鐘楼で鐘をつく: 参拝前に鐘をつきます(帰りはつきません)
  4. 本堂で参拝: 納め札・お賽銭・ローソク・線香を供え、経を唱えます
  5. 大師堂で参拝: 本堂と同様に参拝します
  6. 納経所で納経: 納経帳に御朱印をいただきます

一般参拝の場合は、本堂と大師堂、訶梨帝母堂を参拝し、それぞれで手を合わせて祈願します。

ご祈願と予約について

各種ご祈願

金倉寺では様々なご祈願を受け付けています。

安産祈願
妊娠5ヶ月目の戌の日に行うのが一般的です。腹帯の持参も可能で、祈祷済みの腹帯を授与することもできます。

子授け祈願
子宝を望むご夫婦のための祈願です。訶梨帝母尊のご利益を授かるため、多くの方が参拝されています。

初宮参り
赤ちゃんが生まれて初めてのお参りです。男児は生後31日目、女児は33日目が目安とされています。

七五三
3歳(男女)、5歳(男児)、7歳(女児)の成長を祝う祈願です。

その他
厄除け、家内安全、交通安全、学業成就、商売繁盛など、各種祈願を受け付けています。

予約方法

ご祈願は予約をおすすめします。特に戌の日や土日祝日は混雑が予想されるため、事前に電話で予約をしておくとスムーズです。

予約・問い合わせ: 0877-62-0845

予約時には、希望する祈願の種類、日時、人数などを伝えます。所要時間や初穂料(祈祷料)についても確認できます。

おかるてんさんアイテム

金倉寺では、訶梨帝母尊にちなんだ様々な授与品が用意されています。

  • 安産お守り: 妊婦が身につける安産祈願のお守り
  • 子授けお守り: 子宝を願う方のためのお守り
  • 腹帯: 安産祈願の際に使用する腹帯
  • お札: 家庭に祀るためのお札
  • 絵馬: 願い事を書いて奉納する絵馬

これらのアイテムは納経所で授与していただけます。

年間行事

金倉寺では年間を通じて様々な行事が行われています。

1月

  • 初詣、新年祈祷

2月

  • 節分会

3月

  • 春季彼岸会

4月

  • 花まつり(灌仏会)

8月

  • 施餓鬼会

9月

  • 秋季彼岸会

12月

  • 納めの大師

特に初詣や彼岸の時期には多くの参拝者で賑わいます。また、毎月の戌の日には安産祈願の参拝者が訪れます。

周辺の札所と観光スポット

第75番札所 善通寺

金倉寺から約3.5kmの距離にある善通寺は、弘法大師空海の生誕地として知られる真言宗善通寺派の総本山です。四国八十八ヶ所の中でも最大級の規模を誇り、東院と西院からなる広大な境内を持っています。

第77番札所 道隆寺

金倉寺から約4kmの道隆寺は、眼病平癒のご利益で知られる札所です。本尊の薬師如来は「目なおし薬師」として信仰を集めています。

善通寺市の観光

善通寺市は弘法大師ゆかりの地として、多くの史跡や寺院があります。旧善通寺偕行社(国の重要文化財)、陸上自衛隊善通寺駐屯地資料館などの見どころもあります。

金倉寺を訪れる際の注意点

服装と持ち物

四国遍路として参拝する場合は、白衣、菅笠、金剛杖などの遍路装束を整えるのが正式ですが、一般参拝の場合は普段着で問題ありません。ただし、寺院ですので露出の多い服装は避け、節度ある服装を心がけましょう。

写真撮影

境内の撮影は基本的に可能ですが、本堂内部や祈祷中の撮影は控えましょう。他の参拝者への配慮も大切です。

マナー

  • 境内では静かに過ごし、他の参拝者の邪魔にならないようにしましょう
  • 喫煙は指定場所でのみ行いましょう
  • ゴミは持ち帰りましょう
  • ペットを連れての参拝は控えるか、抱きかかえるなど配慮しましょう

金倉寺の魅力

金倉寺は四国八十八ヶ所第76番札所として、遍路文化の重要な一翼を担っています。智証大師円珍の誕生地という歴史的な重要性、乃木希典将軍との縁、そして「おかるてんさん」として親しまれる訶梨帝母信仰という多面的な魅力を持つ寺院です。

遍路者にとっては巡礼の一札所として、地元の人々にとっては子授け・安産の祈願所として、歴史愛好家にとっては智証大師と乃木将軍ゆかりの地として、それぞれの視点で訪れる価値のある寺院といえます。

善通寺市を訪れた際には、ぜひ金倉寺に足を運んでみてください。静かな境内で手を合わせれば、千年以上の歴史と信仰の重みを感じることができるでしょう。

まとめ

金倉寺は香川県善通寺市にある天台寺門宗の寺院で、四国八十八ヶ所霊場第76番札所です。智証大師円珍の誕生地として、また乃木希典将軍ゆかりの寺として歴史的価値が高く、子授け・安産の神様「おかるてんさん」を祀る寺として地域の信仰を集めています。

JR金蔵寺駅から徒歩5分というアクセスの良さも魅力で、四国遍路の巡礼者だけでなく、安産祈願や子授け祈願に訪れる多くの人々に親しまれています。境内には本堂、大師堂、訶梨帝母堂などがあり、国の重要文化財を含む貴重な文化財も所蔵しています。

四国を訪れる際、または安産・子授けの祈願をお考えの際には、ぜひ金倉寺を訪れてみてください。

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