榎稲荷神社(東京都)完全ガイド|墨田区・渋谷区の2社の歴史とアクセス情報
東京都内には「榎稲荷神社」という名称の神社が複数存在します。主なものとして墨田区立川にある榎稲荷神社と、渋谷区千駄ヶ谷にある榎稲荷神社(お万榎稲荷神社)の2社があり、それぞれ異なる歴史と特徴を持っています。本記事では、これら東京都内の榎稲荷神社について、歴史、御祭神、アクセス方法、見どころなど、参拝前に知っておきたい情報を詳しく解説します。
榎稲荷神社とは|名称の由来と共通点
「榎稲荷神社」という名称は、境内やその周辺に大きな榎(えのき)の木があったことに由来しています。榎は古くから神聖な木として信仰の対象とされ、特に稲荷信仰と結びついた神社では、その土地の象徴的な樹木として大切にされてきました。
東京都内の榎稲荷神社は、いずれも稲荷信仰を基盤としており、商売繁盛や五穀豊穣などのご利益があるとされています。それぞれの神社は独立した歴史を持ち、地域の人々に親しまれてきた歴史があります。
榎稲荷神社(墨田区立川)|江戸時代から続く歴史ある神社
墨田区榎稲荷神社の歴史
墨田区立川に鎮座する榎稲荷神社は、天和3年(1682年)に菊川の堤に建立されたのが始まりとされています。当初は「土手稲荷」と称されていました。
その後、元禄6年(1693年)に神田の和泉橋付近の名主であった河村徳右衛門の屋敷神だった稲荷が、現在の墨田区の地に移転されたという記録もあります。江戸時代には大久保紀伊守の邸内社となり、境内に林立する榎の大木があったことから「榎稲荷大明神」と称されるようになりました。
関東大震災後に現在の立川4丁目の地に移転し、地域の守り神として現在に至っています。江戸時代には武家屋敷が立ち並んだエリアであり、当時の面影を今に伝える貴重な神社です。
御祭神とご利益
御祭神: 宇迦御魂命(うかのみたまのみこと)
宇迦御魂命は稲荷神の代表的な神様で、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全などのご利益があるとされています。地域の人々からは親しみを込めて「榎さん」と呼ばれています。
境内の見どころ
墨田区の榎稲荷神社の最大の特徴は、社名の由来となった榎の木です。残念ながら東京大空襲により焼けてしまいましたが、現在も枯れた姿で境内に残されており、戦災の記憶を伝える貴重な存在となっています。
この枯れた榎は、神社の歴史と地域の記憶を象徴するものとして、参拝者に深い印象を与えています。境内は決して広くはありませんが、静かな雰囲気の中で参拝できる空間となっています。
アクセス情報
所在地: 〒130-0023 東京都墨田区立川4-12-24
電話番号: 03-3633-1910
最寄り駅: 都バス業⑩「立川」停留所より徒歩約5分
例祭日: 4月17日
公共交通機関を利用する場合は、都営バスの利用が便利です。周辺には菊川駅(都営新宿線)もあり、そこから徒歩でアクセスすることも可能です。
参拝のポイント
墨田区の榎稲荷神社は、住宅街の中にひっそりと佇む神社です。地域密着型の神社であり、観光地化されていない素朴な雰囲気が魅力です。参拝時には、戦災を乗り越えた榎の木に注目してみてください。
東京都神社庁に所属する正式な神社であり、地域の祭礼や行事も行われています。静かに参拝したい方や、歴史ある神社を訪れたい方におすすめです。
榎稲荷神社(渋谷区千駄ヶ谷)|お万榎稲荷神社として知られる坂の途中の社
渋谷区榎稲荷神社の歴史と特徴
渋谷区千駄ヶ谷に鎮座する榎稲荷神社は、「お万榎稲荷神社」とも呼ばれています。この神社は鳩森八幡神社の近くに位置し、坂の途中にある独特の立地が特徴です。
外苑前方面から鳩森八幡神社へ向かう際、仙寿院を右手に回るルートを取ると、この榎稲荷神社がある坂を登ることになります。周辺は東京体育館や国立競技場に近く、都心でありながら静かな雰囲気を保っている地域です。
不思議な雰囲気が魅力
渋谷区の榎稲荷神社は、参拝者から「不思議な雰囲気の稲荷神社」と評されることが多い神社です。坂の途中という立地、周囲の樹木に囲まれた環境、そして小さいながらも存在感のある社殿が、独特の空気感を醸し出しています。
都心の喧騒から少し離れた場所にあり、静かに参拝できる穴場的なスポットとして知られています。
アクセス情報
所在地: 東京都渋谷区千駄ヶ谷2丁目(2-29または2-35-1付近)
最寄り駅:
- 東京メトロ副都心線「北参道駅」より徒歩約7~8分
- JR総武線「千駄ケ谷駅」より徒歩約6分
- 都営大江戸線「国立競技場駅」より徒歩約10分
アクセス方法: 北参道駅を背にして東京体育館脇の道を真っ直ぐ進み、鳩森八幡神社の入口を左折。少し歩いた坂の途中、左手に位置しています。
参拝のポイント
渋谷区の榎稲荷神社には御朱印はありませんが、鳩森八幡神社への参拝と合わせて訪れる方が多い神社です。坂道の途中にあるため、見逃さないよう注意が必要です。
周辺には東京体育館や国立競技場、明治神宮外苑などがあり、散策の途中に立ち寄るのに適しています。静かな雰囲気の中で心を落ち着けて参拝できる貴重な空間です。
東京都内の榎稲荷神社の比較
墨田区と渋谷区の違い
| 項目 | 墨田区榎稲荷神社 | 渋谷区榎稲荷神社 |
|——|——————|——————|
| 創建年 | 天和3年(1682年) | 詳細不明 |
| 別称 | 榎さん | お万榎稲荷神社 |
| 御祭神 | 宇迦御魂命 | 稲荷神 |
| 特徴 | 戦災を受けた榎が残る | 坂の途中の不思議な雰囲気 |
| 周辺環境 | 住宅街 | 東京体育館・国立競技場近く |
| 例祭日 | 4月17日 | 不明 |
| 電話番号 | 03-3633-1910 | なし |
どちらを参拝すべきか
両社ともそれぞれの魅力があり、可能であれば両方を参拝することをおすすめします。
墨田区の榎稲荷神社がおすすめの方:
- 江戸時代からの歴史ある神社を訪れたい
- 戦災の記憶を伝える場所に関心がある
- 地域密着型の素朴な神社が好き
- 東京都神社庁所属の正式な神社を参拝したい
渋谷区の榎稲荷神社がおすすめの方:
- 鳩森八幡神社とセットで参拝したい
- 国立競技場や明治神宮外苑周辺を散策する予定がある
- 都心の隠れた神社を探索したい
- 静かで不思議な雰囲気の場所が好き
稲荷信仰と榎の木の関係
稲荷神社とは
稲荷神社は全国に約3万社あるとされる、日本で最も多い神社です。主祭神は宇迦御魂命(うかのみたまのみこと)で、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全などのご利益があるとされています。
江戸時代には特に商人や町人の間で信仰が広まり、屋敷神として祀られることも多くありました。墨田区の榎稲荷神社も、もともとは名主の屋敷神や武家の邸内社として始まっています。
榎の木の意味
榎(エノキ)は、ニレ科の落葉高木で、古くから日本人に親しまれてきた樹木です。神社の境内に植えられることが多く、神聖な木として扱われてきました。
特に江戸時代には、大きな榎は地域のランドマークとして機能し、神社の名称にも使われるようになりました。榎稲荷神社という名称は、まさにその土地の象徴的な榎と稲荷信仰が結びついた結果生まれたものです。
参拝時のマナーと作法
基本的な参拝作法
- 鳥居をくぐる前に一礼:神域に入る前の礼儀として、軽く一礼します。
- 手水舎で清める(ある場合):左手、右手、口の順に清めます。
- 参道の中央を避ける:中央は神様の通り道とされています。
- 拝殿前での作法:
- 賽銭を静かに入れる
- 鈴を鳴らす(ある場合)
- 二礼二拍手一礼
- 退出時も一礼:鳥居を出る前に振り返って一礼します。
稲荷神社特有のポイント
稲荷神社では、狐が神使(神様の使い)とされています。本殿の両脇に狐の像が置かれていることが多いので、参拝時には狐の像にも注目してみてください。
周辺の見どころとおすすめスポット
墨田区榎稲荷神社周辺
菊川駅周辺エリア:下町の雰囲気が残るエリアで、昔ながらの商店街や飲食店があります。
錦糸町:墨田区の中心地で、ショッピングや飲食に便利です。榎稲荷神社から電車で数分の距離です。
両国:相撲の街として知られ、江戸東京博物館や両国国技館があります。墨田区の歴史を学ぶのに最適です。
渋谷区榎稲荷神社周辺
鳩森八幡神社:徒歩圏内にある大きな神社で、富士塚(千駄ヶ谷富士)が有名です。榎稲荷神社とセットで参拝する方が多いです。
明治神宮外苑:イチョウ並木が美しいエリアで、季節ごとに異なる景色を楽しめます。
国立競技場:スポーツイベントや建築に興味がある方におすすめです。
東京体育館:各種スポーツイベントが開催される施設で、周辺は緑豊かな環境です。
榎稲荷神社への参拝を計画する
参拝に適した時期
榎稲荷神社は通年参拝可能ですが、特におすすめの時期があります。
春(3月~5月):墨田区の榎稲荷神社では4月17日に例祭が行われます。桜の季節でもあり、周辺散策も楽しめます。
秋(9月~11月):気候が穏やかで参拝に最適です。渋谷区の榎稲荷神社近くの明治神宮外苑では、11月にイチョウが美しく色づきます。
初詣(1月):新年の参拝も可能ですが、小規模な神社のため混雑は少ないです。
所要時間の目安
墨田区榎稲荷神社:参拝のみであれば10~15分程度。周辺散策を含めると30分~1時間。
渋谷区榎稲荷神社:参拝のみであれば5~10分程度。鳩森八幡神社と合わせて参拝する場合は30分~1時間。
写真撮影について
神社での写真撮影は基本的に可能ですが、以下の点に注意しましょう。
- 本殿内部の撮影は控える
- 他の参拝者が写り込まないよう配慮する
- フラッシュの使用は控えめに
- SNS投稿時は位置情報の公開に注意
境内の雰囲気や榎の木など、それぞれの神社の特徴的な風景は写真に収める価値があります。
まとめ|東京都の榎稲荷神社を訪れる価値
東京都内の榎稲荷神社は、墨田区と渋谷区にそれぞれ個性的な神社が存在します。墨田区の榎稲荷神社は江戸時代からの歴史を持ち、戦災の記憶を伝える榎の木が印象的です。一方、渋谷区の榎稲荷神社は都心の隠れた神社として、不思議な雰囲気と静けさが魅力です。
どちらの神社も、大規模な観光地ではないからこそ、静かに心を落ち着けて参拝できる貴重な空間となっています。東京都内で神社巡りをする際には、ぜひ両方の榎稲荷神社を訪れて、それぞれの歴史と雰囲気を感じてみてください。
地域の人々に長年親しまれてきた神社だからこそ、訪れる人に温かさと安らぎを与えてくれるでしょう。稲荷信仰の歴史、榎の木の意味、そして地域の記憶が詰まった榎稲荷神社は、東京都の隠れた文化財として、これからも多くの人々に守られていくことでしょう。
