屋島寺

住所 〒761-0111 香川県高松市屋島東町1808
公式サイト http://www.88shikokuhenro.jp/84yashimaji/

屋島寺完全ガイド|四国八十八箇所第84番札所の歴史・見どころ・参拝情報

屋島寺とは

屋島寺(やしまじ)は、香川県高松市屋島東町の屋島南嶺山上に位置する真言宗御室派の寺院です。南面山(なんめんざん)千光院(せんこういん)と号し、本尊は十一面千手観音菩薩。四国八十八箇所霊場の第八十四番札所として、古くから多くの遍路や参拝者を迎えてきました。

標高293メートルの屋島は、瀬戸内海に突き出た溶岩台地で、源平合戦の古戦場として知られる歴史的名所でもあります。現在は江戸時代の埋め立てにより半島状となっていますが、かつては独立した島でした。この屋島の頂上に建つ屋島寺は、歴史と自然が織りなす絶景の中で、1200年以上の法灯を守り続けています。

屋島寺の歴史

創建と鑑真和上

屋島寺の歴史は天平勝宝6年(754年)に遡ります。唐僧の鑑真和上が、日本に仏教の戒律を伝えるため東大寺へ向かう途中、屋島の北嶺に立ち寄りました。鑑真和上はこの地に普賢堂を建立し、唐から持参した普賢菩薩像と経典を納めて屋島寺の基礎を築きました。

鑑真和上は5度の渡航失敗と失明という苦難を経て来日した高僧であり、その足跡が屋島に刻まれていることは、この寺院の格式の高さを物語っています。

恵雲律師による伽藍整備

鑑真の弟子である東大寺戒壇院の恵雲律師が、師の遺志を継いで堂塔を建立し、精舎を構えました。恵雲律師は「屋島寺」という寺号を定め、初代住職に就任。これにより、屋島寺は正式な寺院としての体裁を整えました。

弘法大師と南嶺への移転

弘仁6年(815年)、嵯峨天皇の勅願により、弘法大師(空海)が屋島寺を訪れました。弘法大師は北嶺から現在の南嶺へと伽藍を移転し、十一面千手観音像を彫造して本尊として安置しました。この時、屋島寺は真言密教の道場としての性格を強め、四国霊場の一つとして確立されました。

弘法大師による南嶺への移転は、風水や地形を考慮した戦略的な判断だったとされ、現在の本堂がある場所は屋島全体を見渡せる絶好の位置にあります。

源平合戦と屋島寺

文治元年(1185年)、屋島は源平合戦の重要な舞台となりました。平家が屋島を拠点としていた時期、屋島寺も戦乱の影響を受けましたが、那須与一の扇の的、義経の弓流しといった歴史的出来事が繰り広げられた場所として、後世に語り継がれています。

天暦年間以降の発展

天暦年間(947-957年)には、明達律師が四天王像を安置し、寺院の伽藍をさらに充実させました。鎌倉時代後期には現在の本堂が造営され、その後も江戸時代を通じて高松藩の庇護を受けながら、四国遍路の重要な札所として繁栄を続けました。

屋島寺の見どころ

本堂(国指定重要文化財)

屋島寺の本堂は鎌倉時代後期の造営で、国の重要文化財に指定されています。朱塗りの外観が美しく、入母屋造本瓦葺の堂々とした建築様式は、鎌倉期の寺院建築の特徴をよく残しています。

本堂内部には本尊の十一面千手観音坐像が安置されています。この仏像は榧(かや)材の一木造りで、重厚な安定感があり、10世紀頃の作とされる貴重な仏像です。高さ約2.7メートルの堂々とした姿は、参拝者に深い感銘を与えます。

宝物館

屋島寺の宝物館には、源平合戦に関連する絵巻や屏風絵、古文書など、貴重な文化財が数多く展示されています。特に源平合戦図屏風は、那須与一の扇の的のシーンなど、屋島での戦いを生き生きと描いており、歴史ファンには必見の展示です。

他にも、平家の武将が奉納したとされる太刀や、歴代住職が使用した仏具、古い経典など、屋島寺の長い歴史を物語る品々が保管されています。

蓑山大明神(たぬき)

屋島寺の境内には、日本三名狸の一つに数えられる「太三郎狸」を祀る蓑山大明神があります。この狸は屋島寺の守護神とされ、家庭円満、縁結び、水商売繁盛などのご利益があるとされています。

本堂前には愛嬌のある狸の像が置かれており、参拝者の人気スポットとなっています。狸にちなんだお守りや絵馬も販売されており、屋島寺ならではの授与品として喜ばれています。

鐘楼と梵鐘

屋島寺の梵鐘は鎌倉時代の作とされ、「平家の供養鐘」とも呼ばれています。源平合戦で亡くなった平家の武将たちを供養するために鋳造されたと伝えられ、その音色は屋島の歴史を今に伝えています。

参拝者は鐘を撞くことができ(有料)、瀬戸内海を見渡す山上に響く鐘の音は、心を清める特別な体験となります。

四天門と仁王門

屋島寺の入口には立派な四天門があり、四天王像が安置されています。天暦年間に明達律師によって安置されたと伝えられるこれらの像は、寺院を守護する力強い存在感を放っています。

さらに参道を進むと仁王門があり、金剛力士像が参拝者を迎えます。これらの門をくぐることで、俗世から聖域へと入る心の準備が整います。

瑠璃宝池と血の池

境内には「瑠璃宝池」と呼ばれる池があり、弘法大師が掘ったと伝えられています。また、源平合戦の際に武将たちが刀を洗ったとされる「血の池」も残されており、歴史の痕跡を感じることができます。

屋島寺の文化財

国指定重要文化財

  • 本堂: 鎌倉時代後期の建築
  • 本尊 十一面千手観音坐像: 平安時代中期(10世紀頃)の作、榧材一木造

その他の重要な文化財

  • 四天王像(天暦年間安置)
  • 梵鐘(鎌倉時代)
  • 源平合戦関連資料(宝物館所蔵)
  • 古文書・経典類

これらの文化財は、屋島寺が単なる霊場ではなく、日本の仏教史、建築史、美術史において重要な位置を占める寺院であることを示しています。

四国遍路と屋島寺

第84番札所としての役割

屋島寺は四国八十八箇所霊場の第84番札所として、遍路道の終盤に位置します。第83番札所の一宮寺から約7キロメートル、次の第85番札所八栗寺までは約7キロメートルの道のりです。

標高293メートルの山上にあるため、遍路にとっては体力的に挑戦的な札所の一つですが、山頂からの瀬戸内海の絶景と歴史的な雰囲気が、疲れを癒してくれます。

御詠歌

屋島寺の御詠歌は以下の通りです:

「梓弓 屋島の宮に 詣でつつ 祈りをかけて 勇む武夫(もののふ)」

この歌は、源平合戦の武将たちが屋島の神仏に戦勝を祈願した様子を詠んだもので、屋島寺の歴史的背景を色濃く反映しています。

納経所と御朱印

納経所では、四国遍路の納経帳に御朱印をいただくことができます。屋島寺の御朱印は「千手観音」の墨書きが特徴的で、遍路の大切な記念となります。また、オリジナルの御朱印帳や遍路用品も販売されています。

屋島寺へのアクセス

電車・バスでのアクセス

ことでん(高松琴平電気鉄道)利用:

  1. ことでん高松築港駅から志度線で約25分、屋島駅下車
  2. 屋島駅から屋島山上シャトルバスで約10分
  3. または屋島駅から徒歩約40分(屋島登山道経由)

JR利用:

  1. JR屋島駅から屋島山上シャトルバスで約15分
  2. または徒歩約50分

路線バス:

  • ことでんバス「屋島山上」行きで終点下車、徒歩すぐ

自動車でのアクセス

  • 高松自動車道「高松中央IC」から約20分
  • 高松市中心部から約30分
  • 屋島ドライブウェイ(有料道路)を経由して山上へ

駐車場: 屋島山上に無料駐車場あり(約300台)

徒歩での登山

遍路や登山愛好家には、徒歩での登山もおすすめです。主な登山道は:

  • 遍路道: 伝統的な四国遍路の道。石段が続く歴史ある道
  • 北嶺登山道: 比較的緩やかな道
  • 南嶺登山道: やや急な道ですが、景色が良い

登山時間は登山口から約40分~60分です。

参拝情報

拝観時間・拝観料

  • 拝観時間: 9:00~17:00(年中無休)
  • 拝観料: 境内無料、宝物館は大人500円、中高生300円、小学生200円

年中行事

  • 元旦: 初詣、修正会
  • 2月3日: 節分会
  • 春・秋: 彼岸会
  • 8月: 盂蘭盆会
  • 毎月21日: 弘法大師御影供

所要時間

  • 本堂参拝のみ: 約20分
  • 境内全体の見学: 約40分
  • 宝物館を含む: 約60分
  • 屋島全体の観光: 2~3時間

屋島寺周辺の見どころ

屋島山上の観光スポット

獅子の霊巌: 屋島の東端にある展望台で、瀬戸内海と高松市街を一望できる絶景スポット。断崖絶壁の上から見る景色は圧巻です。

談古嶺: 源平合戦の古戦場を見渡せる展望地。那須与一が扇の的を射た場所を眼下に望むことができます。

屋島水族館: 日本最大級の水族館の一つで、イルカショーやアシカショーが人気。家族連れにおすすめです。

新屋島水族館: 山上にある珍しい水族館で、瀬戸内海の魚類を中心に展示しています。

屋島周辺の札所

  • 第83番札所 一宮寺: 屋島寺の前札所。高松市一宮町にあり、讃岐国一宮の格式を持つ寺院
  • 第85番札所 八栗寺: 屋島寺の次札所。五剣山の中腹にあり、ケーブルカーでアクセス可能

屋島寺参拝の心得

遍路としての参拝作法

  1. 山門で一礼: 境内に入る前に、山門で合掌一礼
  2. 手水舎で清める: 手と口を清めて心身を浄化
  3. 鐘楼: 参拝前に鐘を撞く(一打のみ、帰りは撞かない)
  4. 本堂参拝: 納札を納め、お賽銭を入れて合掌礼拝。本尊真言を唱える
  5. 大師堂参拝: 弘法大師に感謝の祈りを捧げる
  6. 納経所: 納経帳に御朱印をいただく

本尊真言

十一面千手観音菩薩の真言:
「おん ばざら たらま きりく」

服装と持ち物

  • 白衣、菅笠、金剛杖などの遍路装束(本格的な遍路の場合)
  • 動きやすい服装と歩きやすい靴(一般参拝の場合)
  • 納経帳、数珠、納札
  • 水分補給用の飲み物(特に夏季)

屋島の歴史と地形

屋島の成り立ち

屋島は約1400万年前の火山活動によって形成された溶岩台地です。讃岐岩質安山岩と呼ばれる固い岩石でできており、長年の浸食に耐えて独特のテーブル状の地形を形成しました。

かつては瀬戸内海に浮かぶ独立した島でしたが、江戸時代の寛永年間(1624-1644年)に相引川の河口が埋め立てられ、現在のような半島状の地形となりました。

源平合戦の舞台

文治元年(1185年)2月、壇ノ浦の戦いに先立って屋島で源氏と平氏の激戦が繰り広げられました。平家は屋島を拠点として瀬戸内海の制海権を握っていましたが、源義経率いる源氏軍が奇襲をかけ、激しい戦闘の末に平家を追い詰めました。

那須与一が平家の船上の扇の的を見事に射抜いた「扇の的」の逸話は、『平家物語』の中でも特に有名な場面として語り継がれています。

屋島寺と地域文化

地元との結びつき

屋島寺は単なる観光地や霊場ではなく、地域住民の信仰の中心でもあります。正月の初詣、節分の豆まき、お盆の施餓鬼供養など、年間を通じて地域の人々が参拝に訪れます。

文化財保護と継承

屋島寺では、貴重な文化財の保護と次世代への継承に力を入れています。定期的な建造物の修復、宝物の保存管理、古文書のデジタル化などが進められており、1200年以上の歴史を未来へつなぐ取り組みが続けられています。

屋島寺を訪れる際の注意点

天候と服装

屋島山上は海抜293メートルにあり、平地よりも気温が低く、風が強いことがあります。特に冬季は防寒対策が必要です。また、雨天時は足元が滑りやすくなるため、滑りにくい靴を履くことをおすすめします。

体力面の配慮

徒歩で登山する場合、標高差約250メートル、所要時間40分~60分の登山となります。体力に自信がない方や高齢者の方は、車やシャトルバスの利用をおすすめします。

写真撮影

境内での写真撮影は基本的に可能ですが、本堂内部や宝物館内は撮影禁止の場合があります。撮影前に確認するか、案内表示に従ってください。

所要時間の確保

屋島寺だけでなく、屋島山上の他の観光スポットも訪れる場合は、半日程度の時間を確保することをおすすめします。特に獅子の霊巌からの眺望は必見です。

屋島寺の魅力まとめ

屋島寺は、鑑真和上による創建、弘法大師による整備、源平合戦の舞台という三つの歴史的要素が重なり合う、日本でも稀有な寺院です。国の重要文化財である本堂と本尊、源平合戦の遺物を展示する宝物館、そして瀬戸内海を一望する絶景が、訪れる人々を魅了し続けています。

四国八十八箇所第84番札所として、遍路の重要な拠点であると同時に、一般観光客にとっても歴史と自然を満喫できる場所です。山上という特別な立地が生み出す静謐な雰囲気の中で、1200年以上の歴史に思いを馳せる時間は、訪れる人の心に深い印象を残すことでしょう。

高松を訪れた際には、ぜひ屋島寺に足を運び、日本の歴史と仏教文化の奥深さを体感してください。

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