野見宿禰神社(東京都墨田区)完全ガイド|相撲の神様を祀る聖地の歴史とご利益
東京都墨田区亀沢に鎮座する野見宿禰神社は、相撲の始祖として知られる野見宿禰を御祭神とする、日本で唯一の神社です。両国国技館からほど近い場所に位置し、日本相撲協会によって管理されているこの神社は、相撲関係者はもちろん、多くの参拝者が訪れる聖地となっています。
本記事では、野見宿禰神社の歴史、御祭神の由来、境内の見どころ、アクセス方法まで、この特別な神社の魅力を余すことなくご紹介します。
野見宿禰神社の基本情報
所在地: 東京都墨田区亀沢2-8-10
電話番号: 03-3623-8572
御祭神: 野見宿禰(のみのすくね)
例祭日: 5月上旬
管理: 公益財団法人日本相撲協会
通称: すくねさん
アクセス方法
野見宿禰神社へのアクセスは複数のルートがあります。
電車でのアクセス:
- JR総武線「両国駅」東口より徒歩約10~15分
- 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩約10分
両国駅から北斎通り沿いを歩くと、神社の入口が見えてきます。両国国技館や江戸東京博物館からも徒歩圏内にあるため、相撲観戦や観光の際に立ち寄ることができる便利な立地です。
野見宿禰神社の歴史と創建の経緯
明治時代の創建
野見宿禰神社が創建されたのは、明治18年(1885年)のことです。当時の高砂部屋の親方であった初代高砂浦五郎(第20代横綱)が中心となり、出雲大社の宮司であった千家尊福(せんげたかとみ)の協力を得て、元津軽藩の上屋敷跡地に創建されました。
相撲の始祖である野見宿禰を祀る神社を建立することは、当時の相撲関係者たちの長年の願いでした。高砂浦五郎をはじめとする相撲関係者の尽力により、この願いが実現したのです。
津軽藩上屋敷跡地という立地
神社が建てられた場所は、江戸時代には津軽藩の上屋敷があった由緒ある土地です。明治維新後、この広大な敷地は様々な用途に転用されましたが、その一角に野見宿禰神社が創建されることになりました。
この地が選ばれた理由の一つは、両国という相撲と深い縁のある地域に位置していたことです。両国には江戸時代から相撲興行が行われており、相撲文化の中心地として栄えていました。
関東大震災と東京大空襲の被害
創建から約40年後の大正12年(1923年)、関東大震災により野見宿禰神社は大きな被害を受けました。さらに昭和20年(1945年)の東京大空襲でも被災し、社殿は焼失してしまいます。
戦後の再建
昭和28年(1953年)6月、日本相撲協会と相撲関係者の努力により、野見宿禰神社は再建されました。現在の社殿はこの時に建てられたものです。以来、日本相撲協会によって管理され、相撲界の重要な聖地として大切に守られています。
御祭神・野見宿禰とは
相撲の始祖としての野見宿禰
野見宿禰は、『日本書紀』に登場する古代の力士であり、相撲の始祖として崇められている人物です。垂仁天皇の時代(紀元前29年~紀元後70年頃)、出雲国(現在の島根県)に住んでいた野見宿禰は、当時「天下無双の力士」と謳われていた当麻蹶速(たいまのけはや)と天覧相撲で対戦しました。
この歴史的な一戦で野見宿禰は当麻蹶速を打ち破り、これが日本における相撲の起源とされています。この故事により、野見宿禰は相撲の神様として信仰されるようになりました。
土師氏の祖としての側面
野見宿禰には、相撲の始祖としての顔以外に、もう一つ重要な業績があります。それは殉死の風習を改めたことです。
当時、天皇や貴人が亡くなると、その家臣たちを生き埋めにする殉死の風習がありました。野見宿禰は垂仁天皇の皇后が崩御された際、この残酷な風習に代えて、土で作った人形(埴輪)を埋葬することを提案しました。この功績により、野見宿禰は土師氏(はじし)の祖となり、古墳時代の埴輪製作に携わる氏族の始祖としても尊敬されています。
出雲大社との関係
野見宿禰は出雲国の出身であり、出雲大社とも深い縁があります。野見宿禰神社の創建に際して、出雲大社の宮司である千家尊福が協力したのは、この歴史的つながりによるものです。
境内の見どころ
歴代横綱力士碑
野見宿禰神社の境内で最も注目すべきものが、「歴代横綱力士碑」です。この石碑には、初代明石志賀之助から現役横綱まで、すべての横綱の四股名が刻まれています。
石碑は昭和35年(1960年)に建立され、以降、新しい横綱が誕生するたびに名前が追刻されています。相撲ファンにとっては、歴代の偉大な横綱たちの名前を一堂に見ることができる貴重な場所となっています。
碑の前に立つと、相撲の長い歴史と伝統の重みを感じることができます。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍、白鵬など、時代を彩った名横綱たちの名前を探すのも楽しみの一つです。
社殿の特徴
野見宿禰神社の社殿は、昭和28年の再建以来、シンプルながらも厳かな佇まいを保っています。規模としては小さな神社ですが、相撲協会によって丁寧に管理されており、常に清潔に保たれています。
社殿の前には、相撲に関連する奉納品や絵馬が飾られており、相撲ファンや力士たちの信仰の深さがうかがえます。
境内の雰囲気
野見宿禰神社の境内は、両国という都心の立地にありながら、静謐な空気が漂っています。相撲という日本の伝統文化を象徴する神社として、独特の神聖な雰囲気を持っています。
境内はそれほど広くありませんが、手入れが行き届いており、参拝者を温かく迎え入れてくれます。特に相撲の本場所期間中や例祭の時期には、多くの相撲関係者や参拝者で賑わいます。
新横綱の奉納土俵入り
伝統行事としての奉納土俵入り
野見宿禰神社における最も重要な行事の一つが、新横綱の奉納土俵入りです。新しく横綱に昇進した力士は、明治神宮での奉納土俵入りと並んで、野見宿禰神社でも土俵入りを奉納することが慣例となっています。
これは相撲の神様である野見宿禰に、横綱昇進を報告し、今後の精進を誓う重要な儀式です。新横綱は太刀持ちと露払いを従えて、不知火型または雲龍型の土俵入りを披露します。
相撲界における意義
新横綱の奉納土俵入りは、単なる儀式以上の意味を持っています。横綱という地位は、相撲界における最高位であり、技術だけでなく品格も求められる特別な存在です。
野見宿禰神社での奉納土俵入りを行うことで、新横綱は相撲の長い歴史と伝統を受け継ぐ者としての自覚を新たにし、先人たちへの敬意を表します。この儀式は、相撲が単なるスポーツではなく、神事としての側面を持つ伝統文化であることを象徴しています。
例祭と年中行事
5月の例祭
野見宿禰神社の例祭は、毎年5月上旬に執り行われます。この時期は、ちょうど東京での大相撲夏場所(5月場所)の前後にあたります。
例祭には日本相撲協会の関係者をはじめ、力士、親方、相撲ファンなど多くの人々が参列します。神事では、その年の相撲興行の安全と成功、力士たちの健康と活躍を祈願します。
本場所前の参拝
東京での本場所(初場所・夏場所)の前には、多くの力士や親方が野見宿禰神社を参拝します。特に初場所前には、新年の挨拶と本場所での活躍を祈願する参拝者で賑わいます。
力士たちは、相撲の神様に手を合わせることで、本場所に臨む気持ちを引き締めます。
ご利益と参拝の作法
野見宿禰神社のご利益
野見宿禰神社は、相撲の神様を祀る神社として、以下のようなご利益があるとされています。
勝負運向上: 相撲の始祖を祀ることから、勝負事での成功を願う人々が参拝します。スポーツ選手や受験生、ビジネスパーソンなど、様々な「勝負」に臨む人々が訪れます。
健康祈願: 力士のような強靭な肉体と健康を願う参拝者も多くいます。
技芸上達: 相撲という技芸の神様として、様々な分野での技術向上を願う人々が参拝します。
厄除け・開運: 強い力の象徴である野見宿禰に、邪気を払い運気を開くご利益を求める参拝者もいます。
参拝の作法
野見宿禰神社での参拝は、一般的な神社と同様の作法で行います。
- 鳥居をくぐる前に一礼
- 手水舎で手と口を清める(手水舎がある場合)
- 社殿の前で賽銭を入れる
- 二礼二拍手一礼の作法でお参り
- 帰る際も鳥居で一礼
相撲ファンの方は、歴代横綱力士碑の前でも手を合わせ、偉大な横綱たちへの敬意を表すとよいでしょう。
周辺の観光スポット
両国国技館
野見宿禰神社から徒歩約10分の場所にある両国国技館は、大相撲の聖地です。年に3回(1月・5月・9月)の本場所が開催されるほか、相撲博物館も併設されています。
相撲博物館では、歴代横綱の化粧廻しや番付表、相撲に関する貴重な資料を無料で見学できます(本場所開催中は当日の入場券が必要)。
江戸東京博物館
両国国技館の隣に位置する江戸東京博物館は、江戸時代から現代までの東京の歴史と文化を展示する大型博物館です。実物大の日本橋や芝居小屋の模型など、見応えのある展示が充実しています。
※2022年4月から大規模改修工事のため休館中。2025年度中の再開館予定です。
回向院
野見宿禰神社から徒歩約5分の場所にある回向院は、江戸時代に相撲興行が行われていた歴史的な寺院です。境内には「力塚」という相撲関係者の慰霊碑があり、相撲の歴史を感じることができます。
旧安田庭園
両国駅から徒歩約5分の場所にある旧安田庭園は、江戸時代の大名庭園の面影を残す美しい日本庭園です。潮入回遊式庭園として、四季折々の景色を楽しむことができます。入園無料。
両国の相撲部屋
両国周辺には複数の相撲部屋があり、朝稽古を見学できる部屋もあります(事前確認が必要)。高砂部屋は野見宿禰神社の創建に尽力した高砂浦五郎ゆかりの部屋として知られています。
御朱印情報
御朱印の授与について
野見宿禰神社では御朱印を授与していますが、常駐の神職がいないため、授与できる日時が限られています。確実に御朱印をいただきたい場合は、事前に電話で問い合わせることをおすすめします。
例祭や本場所の時期など、特別な行事の際には授与される可能性が高くなります。
御朱印の特徴
野見宿禰神社の御朱印には、神社名と参拝日が墨書きされ、社印が押されます。相撲の神様を祀る神社として、相撲ファンにとっては特別な意味を持つ御朱印となっています。
訪問のベストシーズン
本場所開催期間
野見宿禰神社を訪れるベストシーズンは、東京での大相撲本場所が開催される時期です。
初場所: 1月(両国国技館)
夏場所: 5月(両国国技館)
この時期は、両国国技館での相撲観戦と合わせて参拝することができ、相撲の雰囲気を存分に味わえます。力士や親方が参拝に訪れる姿を見られる可能性もあります。
例祭の時期
5月上旬の例祭の時期も、訪問におすすめです。神事が執り行われ、相撲関係者が多く集まる特別な雰囲気を体験できます。
新横綱誕生時
新しい横綱が誕生した際には、奉納土俵入りが行われます。この貴重な機会に立ち会えれば、相撲の伝統と格式を間近で感じることができます。新横綱誕生の情報は、日本相撲協会の公式サイトなどで確認できます。
参拝時の注意点とマナー
参拝可能時間
野見宿禰神社は屋外の神社であり、基本的には24時間参拝可能です。ただし、夜間の参拝は周辺住民の迷惑にならないよう、静かに行いましょう。
写真撮影について
境内での写真撮影は一般的に可能ですが、参拝者や近隣住民への配慮を忘れずに。特に力士や相撲関係者が参拝している際は、プライバシーに配慮した行動を心がけましょう。
小規模な神社であることへの配慮
野見宿禰神社は、大規模な観光神社ではなく、相撲関係者にとっての聖地として大切にされている神社です。参拝の際は、静かに敬意を持って訪れることが大切です。
大声で騒いだり、境内を走り回ったりすることは避けましょう。
まとめ:相撲文化を感じる特別な神社
東京都墨田区亀沢に鎮座する野見宿禰神社は、相撲の始祖・野見宿禰を祀る日本唯一の神社として、相撲界にとってかけがえのない聖地です。
明治18年(1885年)に初代高砂浦五郎らの尽力により創建されて以来、関東大震災や東京大空襲という困難を乗り越え、昭和28年(1953年)に再建されました。現在は日本相撲協会によって管理され、新横綱の奉納土俵入りをはじめとする重要な神事が執り行われています。
境内にある歴代横綱力士碑には、初代から現役まですべての横綱の名前が刻まれており、相撲の長い歴史を一望することができます。
両国国技館から徒歩圏内という立地も魅力で、相撲観戦の前後に参拝することで、より深く相撲文化を理解し、楽しむことができるでしょう。
相撲ファンはもちろん、勝負運や健康を願う方、日本の伝統文化に興味がある方にとって、野見宿禰神社は訪れる価値のある特別な場所です。両国を訪れた際には、ぜひこの相撲の神様に手を合わせてみてはいかがでしょうか。
アクセス: JR総武線・都営大江戸線「両国駅」より徒歩10分
所在地: 東京都墨田区亀沢2-8-10
参拝時間: 終日可能(御朱印授与は要確認)
参拝料: 無料
