加茂春日神社(山梨県笛吹市)完全ガイド|歴史・御朱印・アクセス情報
山梨県笛吹市春日居町に鎮座する加茂春日神社(かもかすがじんじゃ)は、甲斐国二十社の一つに数えられる由緒正しい神社です。賀茂神社と春日神社が1517年の大洪水によって合祀されたという特異な歴史を持ち、山梨県内では珍しい三間社流造の本殿が特徴的です。本記事では、加茂春日神社の歴史、見どころ、御朱印、アクセス方法まで詳しくご紹介します。
加茂春日神社の歴史と由来
二つの神社が一つになった経緯
加茂春日神社の歴史は、もともと別々に存在していた二つの神社に遡ります。賀茂神社は第29代欽明天皇の御代(540年頃)に創建され、春日神社は第42代文武天皇の御代(697-707年)に創建されました。両社はそれぞれ別の場所に鎮座していましたが、永正14年(1517年)に子酉川(現在の笛吹川)の氾濫による大洪水で流失してしまいます。
この大洪水の際、両社の御神体が現在地に流れ着いたことから、これを神意と捉え、一つの神社として再建されることになりました。この合祀は単なる便宜的な統合ではなく、自然災害という試練を経て二つの神社が結びついた、神秘的な縁起を持つ出来事として地域で語り継がれています。
徳川家康の庇護と再建
合祀後も加茂春日神社は災難に見舞われ、一度焼失しています。しかし天正11年(1583年)、徳川家康より貫文および御朱印を賜り再建されました。これにより神社は徳川家の庇護を受けることとなり、地域の信仰の中心として発展していきます。
現在の本殿は元禄14年(1701年)に再建されたもので、320年以上の歴史を持つ貴重な建造物です。この本殿は正面三間、側面二間の三間社流造という本格的な神社建築様式で造られており、山梨県内では数少ない貴重な遺構として高く評価されています。
祀られている神様
加茂春日神社には、賀茂神社と春日神社それぞれの神々、合わせて六柱の神様が祀られています。
賀茂神社の神々
- 玉依姫命(たまよりひめのみこと):初代神武天皇の母神
- 賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと):京都の上賀茂神社の主祭神
- 神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと):初代神武天皇
春日神社の神々
- 天児屋根命(あめのこやねのみこと):奈良の春日大社の主祭神の一柱
- 経津主命(ふつぬしのみこと):武神
- 武甕槌命(たけみかづちのみこと):武神
奈良の春日大社と同じ神様が祀られているのが特徴で、本殿の建築様式も春日大社と同じ流造を採用しています。このことから、加茂春日神社は「山梨の春日大社」とも呼ばれることがあります。
境内の見どころ
三間社流造の本殿
加茂春日神社の最大の見どころは、元禄14年(1701年)に再建された本殿です。三間社流造という建築様式は、正面が三間(約5.4メートル)の規模を持つ流造で、山梨県内では非常に珍しい形式です。屋根の曲線美と細部の彫刻が美しく、江戸時代中期の神社建築の特徴をよく残しています。
流造は日本の神社建築で最も一般的な様式の一つで、屋根が正面に長く流れるように伸びているのが特徴です。この形式は奈良の春日大社で発展したもので、加茂春日神社の本殿が春日大社との繋がりを建築面でも示しています。
参道と境内の雰囲気
国道140号から少し東へ入った静かな場所に位置する加茂春日神社は、落ち着いた雰囲気の境内を持っています。参道を進むと、歴史を感じさせる鳥居と拝殿が迎えてくれます。境内は手入れが行き届いており、地域の人々に大切に守られてきた神社であることが感じられます。
桜の名所としての魅力
加茂春日神社は桜の名所としても知られています。境内には約30本の桜が植えられており、3月下旬から4月上旬にかけて見事に咲き誇ります。歴史ある神社建築と桜の組み合わせは趣深く、多くの参拝者や観光客が訪れる春の風物詩となっています。
石和温泉エリアの桜スポットとしても人気があり、温泉観光と合わせて訪れるのもおすすめです。満開時には境内が桜色に染まり、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
御朱印情報
加茂春日神社では御朱印をいただくことができます。御朱印は神社の隣にある宮司さんのご自宅で授与されています。参拝後、隣接するお宅を訪ねて御朱印をお願いしましょう。
御朱印には「賀茂春日神社」の墨書きと神社の印が押され、シンプルながら格式を感じさせる仕上がりとなっています。御朱印帳を持参するか、書き置きの御朱印をいただくことができます。
御朱印をいただく際の注意点
- 参拝を済ませてから御朱印をいただきましょう
- 宮司さんのご自宅を訪問するため、常識的な時間帯(午前9時~午後5時頃)に訪ねることをおすすめします
- 不在の場合もありますので、確実に御朱印をいただきたい場合は事前に連絡することも検討しましょう
- 初穂料(一般的に300円~500円程度)を準備しておきましょう
基本情報
神社の詳細
- 正式名称:賀茂春日神社(かもかすがじんじゃ)
- 所在地:〒406-0005 山梨県笛吹市春日居町加茂319
- 主祭神:玉依姫命、神倭伊波礼毘古命、賀茂別雷命、天児屋根命、経津主命、武甕槌命
- 創建:賀茂神社は欽明天皇御代(540年頃)、春日神社は文武天皇御代(697-707年)、合祀は1517年
- 社格:甲斐国二十社
- 例祭日:年間を通じて複数の祭事が執り行われています
- 御朱印:あり(宮司宅にて授与)
- 駐車場:あり(境内周辺に数台分のスペース)
- 拝観料:無料
- 参拝時間:終日参拝可能(御朱印は日中のみ)
周辺の見どころ
加茂春日神社は石和温泉エリアに位置しており、観光と合わせて訪れるのに最適な立地です。
石和温泉:山梨県を代表する温泉地の一つで、多くの温泉旅館やホテルが立ち並びます。神社参拝の後に温泉で疲れを癒すことができます。
笛吹川フルーツ公園:車で約15分の距離にあり、山梨の果物をテーマにした公園です。眺望も素晴らしく、家族連れにもおすすめです。
山梨岡神社:同じく笛吹市にある延喜式内社で、「やまなし」の地名発祥の地とされています。合わせて参拝するのも良いでしょう。
アクセス
電車でのアクセス
JR中央本線「石和温泉駅」が最寄り駅です。
- 石和温泉駅から:徒歩約20分、またはタクシーで約5分
- 春日居町駅から:徒歩約15分
石和温泉駅からは国道140号を北上し、春日居町方面へ向かいます。駅から歩く場合は、温泉街の雰囲気を楽しみながら向かうことができます。
車でのアクセス
- 中央自動車道「一宮御坂IC」から:約10分(約5km)
- 中央自動車道「勝沼IC」から:約15分(約8km)
国道140号沿いに位置しており、道路標識や案内板に従って進めば比較的わかりやすい場所です。国道140号から少し東へ入ったところに神社があります。
カーナビ設定
住所「山梨県笛吹市春日居町加茂319」または電話番号で検索すると正確に案内されます。「賀茂春日神社」で検索できる場合もありますが、「加茂春日神社」「賀茂春日神社」両方の表記があるため、住所での検索が確実です。
駐車場情報
境内周辺に数台分の駐車スペースがあります。桜の季節など混雑時は満車になる可能性もありますので、公共交通機関の利用も検討しましょう。大型車での参拝を予定している場合は、事前に確認することをおすすめします。
参拝のマナーとおすすめの時期
参拝の作法
- 鳥居をくぐる前に一礼します
- 参道は中央を避けて歩きます(中央は神様の通り道とされています)
- 手水舎で心身を清めます
- 拝殿前で二拝二拍手一拝の作法で参拝します
- 帰りも鳥居を出た後に振り返って一礼します
おすすめの参拝時期
春(3月下旬~4月上旬):桜の見頃で最も美しい時期です。境内が桜色に染まり、写真撮影にも最適です。
初詣(1月1日~3日):新年の参拝客で賑わいます。地域の人々と共に新年を祝う雰囲気を味わえます。
例祭日:神社の祭事が執り行われる日には、普段とは異なる厳かな雰囲気を体験できます。
平日の午前中:静かに参拝したい方には、平日の午前中がおすすめです。落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと参拝できます。
石和温泉観光と合わせて楽しむ
加茂春日神社は石和温泉エリアに位置しているため、温泉観光と組み合わせた旅程がおすすめです。
モデルコース例
日帰りコース
- 午前:加茂春日神社参拝
- 昼:石和温泉街でランチ
- 午後:日帰り温泉施設で入浴
- 夕方:笛吹川フルーツ公園で夕景を楽しむ
宿泊コース
- 1日目午後:石和温泉到着、チェックイン
- 1日目夕方:加茂春日神社参拝(桜の季節は夕暮れ時も美しい)
- 1日目夜:温泉旅館で夕食と温泉
- 2日目午前:周辺の神社仏閣巡り(山梨岡神社など)
- 2日目午後:ワイナリー見学やフルーツ狩り
石和温泉には多様な宿泊施設があり、予算や好みに応じて選ぶことができます。温泉と神社参拝を組み合わせることで、心身ともにリフレッシュできる充実した旅になるでしょう。
笛吹市の歴史と文化
加茂春日神社が鎮座する笛吹市は、山梨県の中央部に位置し、古くから甲斐国の中心地の一つとして栄えてきました。市内には延喜式内社である山梨岡神社をはじめ、多くの歴史的な神社仏閣が点在しています。
笛吹川の恵みを受けた肥沃な土地は、果樹栽培に適しており、桃やぶどうの生産地として全国的に知られています。春には桃の花が一斉に咲き誇り、「桃源郷」と呼ばれる美しい景観を作り出します。
武田信玄ゆかりの地としても知られ、戦国時代の史跡も多く残されています。加茂春日神社が徳川家康の庇護を受けたことからもわかるように、この地域は歴史の重要な舞台となってきました。
甲斐国二十社とは
加茂春日神社は「甲斐国二十社」の一つに数えられています。甲斐国二十社とは、山梨県内の特に由緒ある神社を選定したもので、延喜式内社を中心に構成されています。これらの神社を巡る「二十社巡り」は、山梨県の歴史と文化を深く知ることができる神社巡礼として人気があります。
他の二十社には、浅間神社、武田神社、穴切大神社、美和神社などが含まれており、それぞれが独自の歴史と特色を持っています。加茂春日神社を訪れた際には、他の二十社も巡ってみることで、山梨の神社文化をより深く理解することができるでしょう。
まとめ
加茂春日神社は、1517年の大洪水という劇的な出来事によって二つの神社が一つになったという独特の歴史を持つ神社です。山梨県内では珍しい三間社流造の本殿、春には美しく咲き誇る約30本の桜、そして甲斐国二十社の一つとしての格式など、多くの魅力を持っています。
石和温泉エリアに位置するため、観光と合わせて訪れやすく、御朱印も授与されているため、神社巡りの一環としても最適です。歴史ある神社の静謐な雰囲気の中で、心を落ち着けて参拝する時間は、日常の喧騒を離れた貴重な体験となるでしょう。
山梨県を訪れる際には、ぜひ加茂春日神社に足を運んでみてください。二つの神社が結びついた神秘的な縁起と、320年以上の歴史を持つ美しい本殿が、訪れる人々を温かく迎えてくれます。
