城願寺

住所 〒259-0305 神奈川県足柄下郡湯河原町城堀252
公式サイト https://jyouganji.jp/

城願寺完全ガイド|湯河原の国指定天然記念物ビャクシンと土肥実平ゆかりの古刹

神奈川県足柄下郡湯河原町に位置する城願寺(じょうがんじ)は、源平合戦で活躍した武将・土肥実平が創建した歴史ある寺院です。樹齢850年を超える国指定天然記念物のビャクシンの巨木が威容を誇り、湯河原を代表するパワースポットとして多くの参拝者が訪れています。本記事では、城願寺の歴史、見どころ、アクセス方法まで、この古刹の魅力を余すところなくご紹介します。

城願寺の歴史と由来

土肥実平による創建

城願寺の歴史は、約860年以上前の平安時代末期に遡ります。当時、相模国土肥郷(現在の湯河原町周辺)を治めていた豪族土肥次郎実平(どいじろうさねひら)が、屋敷の裏山に小さな持仏堂を建てたことが始まりとされています。

土肥実平は源平合戦において源頼朝の重臣として活躍した武将で、特に石橋山の戦いで敗走した頼朝を守り抜いた「頼朝七騎」の一人として知られています。実平は源平の合戦を勝ち抜いた後、敵味方の区別なく戦で亡くなった人々の冥福を祈るとともに、萬年の世までも土肥一族の家運が栄えるようにと願いを込めて、この寺を「萬年山城願寺」と号しました。

南北朝時代の再興と宗派の変遷

創建当初は栄えていた城願寺ですが、鎌倉時代後期から室町時代にかけて一時衰退の時期を迎えます。しかし、南北朝時代に転機が訪れました。土肥実平の末裔である土肥兵衛入道が、当時の高僧清拙正澄(せいせつしょうちょう)(大鑑禅師)の弟子である禅僧雲林清深を開山として招請し、寺を再興したのです。

この時、城願寺は臨済宗の寺院として生まれ変わり、鎌倉時代後期には五山十刹につぐ寺格である諸山に指定されるなど、西相模地方では指折りの禅刹として栄えました。清拙正澄は勧請開山として名目上の開山となり、実際の開山は雲林清深が務めました。

その後、戦国時代の混乱を経て、江戸時代に入ると曹洞宗に改宗し、現在に至っています。

城願寺の見どころ

国指定天然記念物「城願寺のビャクシン」

城願寺を訪れる最大の理由とも言えるのが、境内にそびえ立つビャクシン(別名:イブキ)の巨木です。この木は推定樹齢850年(一説には900年とも)、樹高約20メートルを誇り、1939年(昭和14年)9月7日に国の天然記念物に指定されました。神奈川県内では最大規模のビャクシンとして知られています。

土肥実平自らが手植えしたと伝えられるこのビャクシンは、平安時代から鎌倉時代、そして現代に至るまで、城願寺の歴史を見守り続けてきました。青々と茂る葉、力強くねじれた幹、そして圧倒的な存在感は、訪れる人々を魅了します。

参道の石段を登り切った境内に立つビャクシンは、「柏槙(びゃくしん)パワー」が宿るパワースポットとしても人気があり、「信頼・友情・恩義」を授かると言われています。石段の上を覆うように茂る姿は、まさに圧巻の一言です。

土肥一族の墓所と七騎堂

境内には、土肥実平をはじめとする土肥一族の墓所が設けられています。源頼朝を支えた武将たちが眠るこの場所は、歴史ファンにとって見逃せないスポットです。

また、七騎堂と呼ばれる建物があり、石橋山の戦いで頼朝を守った「頼朝七騎」を祀っています。土肥実平はこの七騎の筆頭格として、源氏再興に多大な貢献をしました。七騎堂は、その功績を今に伝える重要な史跡となっています。

源頼朝ゆかりの史跡

境内には「頼朝の腰掛石」と呼ばれる石があり、源頼朝がこの地を訪れた際に腰を下ろしたと伝えられています。石橋山の戦いで敗れた頼朝を土肥実平が匿い、その後の再起につながったという歴史的背景を考えると、この石は源平合戦の重要な証人とも言えるでしょう。

五重石塔と本堂

境内には五重石塔が立っており、室町時代の様式を今に伝えています。塔身には金剛界四仏の種子が刻まれ、基礎部分には複弁反花座が施されるなど、細部にわたって精巧な造りとなっています。笠の段型は下二段、上四段という特徴的な構造で、当時の石造技術の高さを物語っています。

本堂は江戸時代以降の建築ですが、曹洞宗寺院としての厳かな雰囲気を醸し出しています。本尊を安置する堂内では、現在も定期的に法要が営まれています。

湯河原火山の地質学的価値

城願寺の周辺は、地質学的にも興味深い場所です。この一帯には35万年前から30万年前に活動した湯河原火山体の溶岩が分布しており、箱根ジオパークのエリアにも指定されています。寺院の歴史だけでなく、太古の地球の営みを感じられる場所でもあるのです。

城願寺の年中行事

除夜の鐘とお焚き上げ

毎年12月31日の大晦日には、除夜の鐘が撞かれます。一般の参拝者も鐘を撞くことができ、108つの煩悩を払い、新年を清々しい気持ちで迎えることができます。同時にお焚き上げも行われ、古いお札やお守りを浄火で供養します。湯河原の冬の風物詩として、多くの地元住民や観光客が訪れる行事です。

施食会(せじきえ)

9月には施食会という法要が営まれます。これは仏様に感謝の気持ちを伝えるとともに、無縁の霊や餓鬼道に堕ちた霊を供養する曹洞宗の重要な法事です。土肥実平が源平合戦で亡くなった敵味方すべての霊を弔ったという創建の精神が、現代にも受け継がれている行事と言えるでしょう。

境内を360度カメラで楽しむ

近年、城願寺では360度カメラを使った境内の紹介も行っています。公式ウェブサイトでは、実際に訪れる前にバーチャルで境内を散策できるコンテンツが用意されており、ビャクシンの迫力や境内の雰囲気を事前に体験することが可能です。遠方にお住まいの方や、参拝前の下見として活用できる便利なサービスです。

百草墓苑・寂靜塔のご案内

城願寺では、現代のニーズに応じた百草墓苑寂靜塔といった納骨施設も運営しています。伝統的な墓地だけでなく、永代供養墓や樹木葬など、多様な供養の形態に対応しており、湯河原町内外から多くの方が利用されています。

歴史ある寺院でありながら、現代社会の変化にも柔軟に対応する姿勢は、城願寺が地域に根ざした寺院として今も愛され続けている理由の一つと言えるでしょう。

城願寺へのアクセス方法

電車でのアクセス

JR東海道本線「湯河原駅」から徒歩約10分という好立地にあります。駅を出て北側に向かい、住宅街を抜けて少し山側に登っていくと、城願寺の参道入口に到着します。道中は緩やかな上り坂ですが、ちょっとしたハイキング気分を味わえる散策路となっています。

車でのアクセス

車で訪れる場合は、小田原厚木道路「石橋IC」から約15分、または国道135号線から湯河原町中心部を経由してアクセスできます。寺院には参拝者用の駐車スペースがありますが、台数に限りがあるため、週末や行事の際は公共交通機関の利用をおすすめします。

住所と基本情報

  • 正式名称: 萬年山 城願寺
  • 宗派: 曹洞宗
  • 住所: 神奈川県足柄下郡湯河原町城堀252
  • 拝観時間: 境内自由(本堂内は要事前連絡)
  • 拝観料: 無料
  • 駐車場: あり(台数制限あり)

城願寺周辺の観光スポット

城願寺を訪れた際には、周辺の観光スポットも合わせて楽しむことができます。

湯河原温泉

湯河原駅周辺には多くの温泉旅館や日帰り入浴施設があり、城願寺参拝後に温泉でゆっくりと疲れを癒すことができます。湯河原温泉は万葉集にも詠まれた歴史ある温泉地で、美肌の湯として知られています。

万葉公園

湯河原の自然を満喫できる公園で、四季折々の花々や紅葉が楽しめます。園内には足湯施設もあり、散策の休憩にぴったりです。

不動滝

落差15メートルの滝で、湯河原を代表する景勝地の一つです。滝の周辺は遊歩道が整備されており、マイナスイオンを浴びながら森林浴が楽しめます。

城願寺を訪れる際のポイント

参拝のマナー

城願寺は現在も信仰の場として機能している寺院です。参拝の際は以下のマナーを守りましょう:

  • 境内では静かに過ごす
  • 写真撮影は可能ですが、本堂内や墓所では配慮する
  • ビャクシンの木には触れない(保護のため)
  • ゴミは必ず持ち帰る

服装と持ち物

参道には石段があるため、歩きやすい靴での訪問をおすすめします。特に雨天時は滑りやすくなるため注意が必要です。夏場は日差しが強いため、帽子や日傘があると便利です。

ベストシーズン

ビャクシンは常緑樹のため、一年を通して青々とした姿を楽しめますが、特に新緑の季節(4月〜5月)や紅葉の季節(11月)は周辺の自然も美しく、おすすめです。また、除夜の鐘を体験したい方は大晦日の訪問を検討してみてください。

城願寺が伝える歴史的価値

城願寺は単なる観光スポットではなく、日本の歴史を今に伝える貴重な文化財です。源平合戦という日本史の転換点に関わった土肥実平の足跡、鎌倉時代から室町時代にかけての禅宗文化の発展、そして850年以上にわたって生き続けるビャクシンの木——これらすべてが、この小さな寺院に凝縮されています。

土肥実平が「敵味方の区別なく」戦死者の冥福を祈ったという創建の精神は、現代においても平和の尊さを教えてくれます。また、南北朝時代に衰退から再興を果たし、戦国時代の混乱を乗り越え、江戸時代に宗派を変えながらも存続してきた歴史は、変化に適応しながら本質を守り続けることの大切さを示しています。

まとめ:湯河原の歴史と自然が交差する聖地

神奈川県湯河原町の城願寺は、樹齢850年を超える国指定天然記念物のビャクシンの巨木、土肥実平ゆかりの歴史的建造物、そして現代に受け継がれる信仰の場として、多面的な魅力を持つ寺院です。

湯河原駅から徒歩わずか10分という立地でありながら、境内に一歩足を踏み入れると、そこには860年以上の歴史が静かに息づいています。源頼朝を支えた武将の物語、禅宗文化の栄華、そして時代の変遷を見守り続けてきた巨木——これらすべてが、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。

湯河原温泉への旅行の際には、ぜひ城願寺に立ち寄り、歴史の重みと自然の力強さを体感してみてください。ビャクシンの木の下に立ち、土肥実平が込めた「萬年の願い」に思いを馳せる時間は、きっと心に残る体験となるでしょう。

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