於岩稲荷田宮神社(東京都)完全ガイド|新宿区・中央区2つの神社の歴史と御朱印情報
東京都内には「於岩稲荷田宮神社」という名前の神社が2つ存在します。一つは新宿区左門町に、もう一つは中央区新川に鎮座しており、どちらも「東海道四谷怪談」で有名なお岩さんゆかりの神社として知られています。この記事では、両神社の歴史、アクセス方法、御朱印情報、ご利益など、参拝に必要な情報を詳しく解説します。
於岩稲荷田宮神社とは|2つの神社が存在する理由
於岩稲荷田宮神社は、江戸時代初期に実在した田宮於岩という女性を祀る神社です。現在、新宿区と中央区に同名の神社が存在する背景には、明治時代の火災と戦後の再建という歴史的経緯があります。
田宮家の屋敷神としての起源
元々、於岩稲荷田宮神社は江戸時代に四谷左門町(現在の新宿区左門町)に屋敷を構えていた田宮家の屋敷神として祀られていた稲荷神の祠が起源です。田宮家に嫁いだ於岩という女性が、この稲荷神への篤い信仰により家運を隆盛させたという伝承が残されています。
於岩は夫とともに熱心に稲荷神を信仰し、その結果として田宮家は大いに繁栄したと伝えられています。於岩の死後、その徳を慕って多くの人々が参拝に訪れるようになり、於岩自身も神として祀られるようになりました。
明治時代の火災と中央区への移転
1879年(明治12年)、四谷左門町の於岩稲荷田宮神社は火災により社殿が焼失しました。この火災を機に、田宮家の当主は東京市京橋区越前堀(現在の東京都中央区新川)にあった田宮家の別の敷地に神社を遷座しました。これが現在の中央区新川に鎮座する於岩稲荷田宮神社です。
中央区の神社は、明治時代から昭和初期にかけて、歌舞伎関係者や花柳界を中心に広く信仰を集めるようになりました。特に「東海道四谷怪談」を上演する際には、役者たちが必ず参拝に訪れる習慣が確立されました。
戦後の新宿区での再建
第二次世界大戦後の1952年(昭和27年)、元々神社があった四谷左門町の旧跡地に、於岩稲荷田宮神社が再建されました。これが現在の新宿区左門町に鎮座する於岩稲荷田宮神社です。
東京都は四谷左門町の地を「田宮稲荷神社跡」として都指定旧跡に指定しており、この地が於岩稲荷信仰の発祥地であることを示しています。
新宿区の於岩稲荷田宮神社|基本情報とアクセス
所在地と御祭神
住所: 東京都新宿区左門町17
御祭神:
- 豊受比賣大神(とようけひめのおおかみ)
- 田宮於岩命(たみやおいわのみこと)
新宿区の於岩稲荷田宮神社は、元々の田宮家屋敷があった場所に再建された神社であり、於岩信仰の原点とも言える場所です。住宅街の中に静かに佇む小さな神社ですが、地元の人々や歌舞伎関係者からの篤い信仰を集めています。
アクセス方法
電車でのアクセス:
- 東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」から徒歩約5分
- 都営新宿線「曙橋駅」から徒歩約8分
四谷三丁目駅からは、新宿通りを新宿方面に少し歩き、左門町の住宅街に入ると神社が見えてきます。比較的アクセスしやすい立地にあります。
開門時間と参拝時の注意点
開門時間: 午前6時30分~午後7時(時期により変動する可能性があるため、参拝前に確認することをおすすめします)
新宿区の神社は住宅街の中にあるため、参拝時には近隣への配慮を心がけましょう。特に早朝や夕方の参拝時には、静かに参拝することが大切です。
境内の見どころ
新宿区の於岩稲荷田宮神社は小規模ながら、歴史を感じさせる趣のある境内を持っています。
鳥居と社殿: コンパクトな境内ですが、朱塗りの鳥居と社殿が整然と配置されています。社殿は戦後の再建ですが、伝統的な神社建築の様式を踏襲しています。
都指定旧跡の碑: 境内またはその周辺には、東京都が指定した「田宮稲荷神社跡」の旧跡碑があり、この地が於岩信仰発祥の地であることを示しています。
お岩さんの伝承: 境内には、お岩さんと田宮家の歴史を説明する案内板が設置されており、参拝者は於岩稲荷信仰の由来を学ぶことができます。
中央区の於岩稲荷田宮神社|基本情報とアクセス
所在地と御祭神
住所: 東京都中央区新川2-25-11
御祭神:
- 豊受比賣大神
- 田宮於岩命
中央区の於岩稲荷田宮神社は、明治12年の火災後に移転した神社で、歌舞伎界や芸能関係者との結びつきが強い神社として知られています。
アクセス方法
電車でのアクセス:
- 東京メトロ日比谷線・東西線「茅場町駅」から徒歩約7分
- 東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」から徒歩約8分
- JR京葉線「八丁堀駅」から徒歩約10分
中央区新川は、オフィス街と住宅が混在するエリアです。神社は路地裏に鎮座しており、都会の喧騒から離れた静かな雰囲気を持っています。
境内の特徴
中央区の於岩稲荷田宮神社も規模は小さいですが、明治時代から続く歴史を感じさせる佇まいを持っています。
社殿: 明治時代に移転後、何度か改修を経た社殿は、都心の限られた敷地の中で信仰の場としての機能を果たしています。
歌舞伎との関係: 境内には、歌舞伎役者や芸能関係者が奉納した品々が見られることがあり、芸能の神様としての性格を色濃く残しています。
於岩稲荷田宮神社の御朱印情報
新宿区の神社の御朱印
新宿区の於岩稲荷田宮神社では、御朱印をいただくことができます。ただし、常駐の神職がいない場合があるため、御朱印を希望する場合は事前に確認することをおすすめします。
御朱印の特徴:
- 「於岩稲荷田宮神社」の墨書き
- 神社の印
- シンプルながら格式を感じさせる書体
御朱印帳への直書きが可能な場合もありますが、書き置きの御朱印が用意されている場合もあります。参拝時期や時間帯によって対応が異なる可能性があるため、確実に御朱印を希望する場合は、事前に神社に問い合わせることをおすすめします。
中央区の神社の御朱印
中央区の於岩稲荷田宮神社でも御朱印をいただくことができます。こちらも常駐の神職がいない時間帯があるため、御朱印を希望する場合は事前確認が必要です。
御朱印の特徴:
- 新宿区の神社と同様に「於岩稲荷田宮神社」の墨書き
- 両神社の御朱印は似た様式を持つ
両神社の御朱印を集める参拝者も多く、2つの神社を巡る「於岩稲荷巡り」を楽しむこともできます。
御朱印帳について
オリジナルの御朱印帳が授与されているかどうかは、参拝時に確認することをおすすめします。小規模な神社のため、オリジナル御朱印帳の常時授与は行っていない可能性があります。
授与品とお守り
新宿区の神社の授与品
新宿区の於岩稲荷田宮神社では、以下のような授与品が用意されています(時期により変動する可能性があります)。
お守り:
- 厄除守:於岩さんの厄除けの力にあやかるお守り
- 商売繁盛守:稲荷神のご利益を授かるお守り
- 縁結守:良縁を結ぶお守り
お札: 家内安全や商売繁盛のお札が授与されています。
中央区の神社の授与品
中央区の於岩稲荷田宮神社でも、同様の授与品が用意されています。特に芸能関係者向けの授与品が充実していることがあります。
芸能関係の授与品:
- 芸道上達守:芸能の上達を願うお守り
- 舞台成功守:公演の成功を祈願するお守り
授与品の種類や在庫状況は時期によって異なるため、特定の授与品を希望する場合は事前に確認することをおすすめします。
ご利益と信仰の特徴
於岩稲荷のご利益
於岩稲荷田宮神社には、以下のようなご利益があるとされています。
厄除け・災難除け: お岩さんは実際には貞淑な妻であり、家を守り繁栄させた人物です。そのため、災難を除け、家を守るご利益があるとされています。
商売繁盛: 稲荷神を祀っているため、商売繁盛のご利益も強く、商人や事業者からの信仰を集めています。
縁結び: お岩さんと夫の田宮伊右衛門(実際の伊右衛門は於岩を大切にした良き夫でした)の夫婦円満の伝承から、良縁や夫婦円満のご利益があるとされています。
芸能上達: 歌舞伎「東海道四谷怪談」との関係から、芸能関係者の信仰が篤く、芸道上達や舞台成功のご利益があるとされています。
歌舞伎界との深い結びつき
於岩稲荷田宮神社、特に中央区の神社は、歌舞伎界との深い結びつきを持っています。鶴屋南北作の歌舞伎「東海道四谷怪談」を上演する際には、出演者が必ず参拝に訪れるという習慣が今も続いています。
これは、お岩さんを題材にした演目を上演する際の敬意と、公演の成功を祈願する意味があります。このような習慣から、於岩稲荷は芸能の神様としても広く認識されるようになりました。
東海道四谷怪談とお岩さんの真実
歌舞伎「東海道四谷怪談」の物語
文政8年(1825年)、鶴屋南北によって書かれた歌舞伎「東海道四谷怪談」は、日本を代表する怪談として知られています。この物語では、夫の伊右衛門に毒を盛られて醜い顔になったお岩が、恨みを抱いて幽霊となり復讐するという内容が描かれています。
しかし、これはあくまで創作であり、実際の田宮於岩とは大きく異なります。
実際の田宮於岩
江戸時代初期に実在した田宮於岩は、貞淑で信心深い女性でした。夫の伊右衛門とは仲睦まじく、二人で稲荷神を熱心に信仰し、その結果として田宮家は大いに繁栄したと伝えられています。
於岩の死後、その徳を慕って多くの人々が参拝に訪れるようになり、やがて於岩自身も神として祀られるようになりました。つまり、実際のお岩さんは怨霊ではなく、家を繁栄させた福の神として信仰されていたのです。
怪談と信仰の関係
鶴屋南北が「東海道四谷怪談」を書いた際、実在の田宮於岩の名前を借りたのは、当時すでに於岩稲荷が霊験あらたかな神社として知られていたためです。有名な神社の名前を使うことで、作品に箔をつけようとしたと考えられています。
皮肉なことに、この怪談によって於岩稲荷の知名度はさらに高まり、多くの参拝者を集めるようになりました。現在でも、「怖いお岩さん」のイメージで参拝に訪れる人もいますが、実際には家内安全や商売繁盛を願う神社として信仰されています。
於岩稲荷田宮神社と陽運寺の関係
於岩稲荷田宮神社について調べると、しばしば「陽運寺」という寺院の名前が出てきます。陽運寺は新宿区左門町にある日蓮宗の寺院で、於岩稲荷田宮神社のすぐ近くに位置しています。
陽運寺とお岩さん
陽運寺には「お岩様」の墓があるとされ、多くの参拝者が訪れます。ただし、この墓は実際の田宮於岩の墓ではなく、歌舞伎「東海道四谷怪談」にちなんで後世に建てられたものです。
陽運寺は「お岩さんの寺」として知られ、於岩稲荷田宮神社とともに四谷のお岩さん信仰の中心地となっています。
神社と寺院の違い
於岩稲荷田宮神社は神社であり、稲荷神とお岩さんを神として祀っています。一方、陽運寺は仏教寺院であり、お岩さんを仏として供養しています。
四谷を訪れる際には、於岩稲荷田宮神社と陽運寺の両方を参拝する人も多く、それぞれ異なる形でお岩さんへの信仰を表現しています。
参拝のマナーと注意点
基本的な参拝マナー
於岩稲荷田宮神社を参拝する際には、以下の基本的なマナーを守りましょう。
- 鳥居をくぐる際の一礼: 鳥居は神域への入口です。くぐる前に一礼しましょう。
- 手水の作法: 手水舎がある場合は、左手、右手、口の順に清めます。
- 参拝の作法: 二礼二拍手一礼が基本です。賽銭を入れ、鈴を鳴らしてから、二回礼をし、二回拍手をし、最後に一礼します。
- 写真撮影: 境内での写真撮影は基本的に可能ですが、社殿内部や他の参拝者への配慮を忘れずに。
住宅街での配慮
新宿区の於岩稲荷田宮神社は住宅街の中にあります。参拝時には以下の点に注意しましょう。
- 大声での会話を控える
- 早朝や夜間の参拝は特に静かに
- 路上駐車は避ける
- ゴミは必ず持ち帰る
お岩さんへの誤解について
「怖いお岩さん」というイメージを持って参拝する人もいますが、実際のお岩さんは家を繁栄させた福の神です。恐れる必要はなく、むしろ家内安全や商売繁盛を願う気持ちで参拝することが大切です。
歌舞伎関係者が必ず参拝に訪れるのも、お岩さんを恐れるためではなく、敬意を表し、芸道の上達や公演の成功を祈願するためです。
周辺の見どころと観光スポット
新宿区周辺
陽運寺: 於岩稲荷田宮神社から徒歩数分の場所にある日蓮宗寺院。お岩さんゆかりの寺として知られています。
須賀神社: 四谷三丁目駅近くにある神社。映画「君の名は。」の聖地としても有名です。
新宿御苑: 四谷三丁目駅から徒歩圏内にある広大な庭園。四季折々の自然を楽しめます。
四谷荒木町: かつての花街の面影を残す飲食店街。風情ある路地裏の雰囲気が魅力です。
中央区周辺
鉄砲洲稲荷神社: 中央区の代表的な稲荷神社。於岩稲荷田宮神社から徒歩圏内です。
隅田川テラス: 川沿いの遊歩道。散策に最適です。
築地場外市場: 新鮮な海産物や食材が揃う市場。グルメスポットとしても人気です。
浜離宮恩賜庭園: 江戸時代の大名庭園。都心のオアシスとして親しまれています。
於岩稲荷田宮神社への参拝を計画する
おすすめの参拝プラン
四谷エリア集中プラン:
- 東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」下車
- 於岩稲荷田宮神社(新宿区)参拝(所要時間:15分)
- 陽運寺参拝(所要時間:15分)
- 須賀神社参拝(所要時間:20分)
- 四谷荒木町で食事やカフェ
両神社巡りプラン:
- 新宿区の於岩稲荷田宮神社参拝
- 電車で移動(約30分)
- 中央区の於岩稲荷田宮神社参拝
- 築地場外市場でグルメを楽しむ
参拝に適した時期
於岩稲荷田宮神社は年間を通じて参拝可能ですが、以下の時期は特におすすめです。
初詣(1月1日~3日): 新年の参拝。混雑が予想されます。
例祭日: 神社によって異なりますが、例祭の際には特別な雰囲気を味わえます。
春・秋: 気候が良く、周辺の散策も楽しめます。
歌舞伎公演時: 「東海道四谷怪談」の公演期間中は、歌舞伎関係者の参拝に遭遇できるかもしれません。
所要時間の目安
- 於岩稲荷田宮神社(新宿区)のみ:30分~1時間(御朱印待ち時間含む)
- 於岩稲荷田宮神社(中央区)のみ:30分~1時間
- 両神社巡り:半日~1日(移動時間と周辺観光含む)
まとめ|於岩稲荷田宮神社の魅力
於岩稲荷田宮神社は、歌舞伎「東海道四谷怪談」で有名なお岩さんゆかりの神社ですが、実際には怨霊を祀る神社ではなく、家内安全、商売繁盛、縁結び、芸能上達などのご利益がある福の神を祀る神社です。
新宿区と中央区の2つの神社は、それぞれ異なる歴史的経緯を持ちながらも、同じ信仰の系譜を受け継いでいます。明治時代の火災による移転と、戦後の再建という歴史は、東京の都市の変遷とともに歩んできた神社の姿を物語っています。
小規模ながらも、地元の人々や歌舞伎関係者からの篤い信仰を集める於岩稲荷田宮神社。東京観光の際には、ぜひ両神社を訪れて、お岩さんの真実の姿と、江戸から続く信仰の歴史に触れてみてください。
都会の喧騒の中に静かに佇む於岩稲荷田宮神社での参拝は、きっと心に残る体験となるでしょう。御朱印を集めている方は、2つの神社を巡る「於岩稲荷巡り」もおすすめです。それぞれの神社が持つ独特の雰囲気と歴史を感じながら、ゆっくりと参拝を楽しんでください。
