桝箕稲荷神社(東京都新宿区)

桝箕稲荷神社(東京都新宿区)
創建年 (西暦) 1615
住所 〒160-0002 東京都新宿区四谷坂町10−5

桝箕稲荷神社(東京都新宿区)完全ガイド:歴史・御祭神・正五九祭の魅力

東京都新宿区四谷坂町に鎮座する桝箕稲荷神社(ますみのいなりじんじゃ)は、江戸時代初期から坂町の鎮守として地域を見守り続けてきた歴史ある神社です。枡箕児童公園に隣接する小さな境内ながら、その由緒と独特の社名の由来は、江戸幕府の歴史と深く結びついています。本記事では、桝箕稲荷神社の歴史、御祭神、祭事、アクセス方法まで、参拝に役立つ情報を網羅的に紹介します。

桝箕稲荷神社の概要

桝箕稲荷神社は、新宿区の四谷坂町エリアに位置する小規模ながら由緒正しい稲荷神社です。かつては「真須美稲荷」と呼ばれ、「明るく澄み渡り暗きを照らす」という意味を持つ社名で親しまれていました。現在の「桝箕」という表記は、江戸時代に幕府がこの地で恩賜米の配分を行っていたことに由来しており、米を量る道具である「桝」と「箕(み)」から名付けられたと伝えられています。

境内は枡箕児童公園に隣接しており、地域住民の憩いの場所としても機能しています。都心の住宅街に佇む静かな神社でありながら、江戸時代から続く坂町の守護神として、今なお地域の信仰を集めています。

鎮座地

所在地: 東京都新宿区四谷坂町10-5(または坂町22との記載もあり)

桝箕稲荷神社は新宿区の四谷エリア、坂町に鎮座しています。この地域は江戸時代には御手先組(おてさきぐみ)と呼ばれる幕府の役人の屋敷が周囲に立ち並んでいた場所で、幕府の恩賜米配分の場所として選ばれたことからも、当時の重要性がうかがえます。

現在は住宅街の中にありながら、枡箕児童公園という緑地に隣接しており、地域のコミュニティの中心的な存在となっています。舌状台地の先端部に位置することから、地形的にも興味深い立地にあり、祖先の人々がこの地を選んだ理由に思いを馳せることができます。

桝箕稲荷神社の御祭神

桝箕稲荷神社には、以下の三柱の神々が祀られています。

宇迦能御魂大神(うかのみたまのおおかみ)

主祭神である宇迦能御魂大神は、稲荷神社の代表的な神様で、五穀豊穣・商売繁盛を司る神として広く信仰されています。「宇迦」は穀物・食物を意味し、日本人の生活に欠かせない稲作と深く結びついた神様です。桝箕稲荷神社が五穀を司る神社として伝えられてきたのは、この御祭神の御神徳によるものです。

猿田彦命(さるたひこのみこと)

猿田彦命は、道開きの神、導きの神として知られています。天孫降臨の際に道案内をした神話で有名で、物事を良い方向へ導き、開運・交通安全の御神徳があるとされています。新しい事業や人生の転機において、正しい道へと導いてくださる神様として信仰されています。

大宮売神(おおみやのめのかみ)

大宮売神は、宮中の祭祀を司る神として知られ、調和と平和をもたらす神様です。人々の和合や家内安全の御神徳があるとされ、地域の鎮守神として相応しい神様といえます。

これら三柱の神々が一体となって、地域の五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、開運招福を守護しています。

桝箕稲荷神社の由緒

創建と歴史的背景

桝箕稲荷神社の創建は、江戸時代初期の元和年間(1615年-1624年)にさかのぼります。徳川幕府が確立された時期に、坂町の守護神として宇迦能御魂大神と猿田彦命大神を奉斎したのが起源とされています。

江戸時代当社の周囲には、御手先組と呼ばれる幕府の役人たちの屋敷が立ち並んでいました。御手先組は、将軍の身辺警護や城内の雑務を担当する役職で、幕府の中でも重要な位置を占めていました。このような幕府に近い人々が居住する地域に鎮座していたことから、桝箕稲荷神社は地域の重要な信仰の中心となっていました。

社名の由来:真須美稲荷から桝箕稲荷へ

当社は元々「真須美稲荷」と呼ばれていました。「真須美」は「明るく澄み渡り暗きを照らす」という意味を持ち、五穀を司る神社としての性格を表していました。

しかし、江戸時代に幕府がこの場所で御賜米(恩賜米)の配分を行うようになったことから、いつの頃からか「桝箕」の文字を用いるようになったと伝えられています。「桝」は米を量る道具、「箕」は穀物を選別する農具であり、いずれも米や穀物と深い関わりのある道具です。恩賜米の配分という重要な儀式が行われていた場所であることを示す、象徴的な社名となったのです。

東京都神社名鑑による桝箕稲荷神社の由緒

東京都神社名鑑には、桝箕稲荷神社について以下のような記載があります:

元和年間に坂町の鎮守として創建され、当初は真須美稲荷と称されていた。江戸時代を通じて地域の守護神として崇敬を集め、特に五穀豊穣を祈願する神社として信仰されてきた。明治以降も地域の鎮守社として、坂町の住民たちによって大切に守られてきた歴史がある。

境内掲示による桝箕稲荷神社の由緒

神社の境内には由緒を記した掲示があり、以下のような内容が記されています:

「当社は昔 真須美稲荷と言われ明るく澄み渡り暗きを照らすと言い伝えられ五穀を司る神社であり江戸時代当社の周囲は御手先組の屋敷が有り幕府よりこの場所が御賜米の配分などが行われ いつの頃か桝箕の文字を用いるようになったと伝えられる。祭事は正五九祭。」

この掲示からは、神社の歴史的変遷と、地域における重要性が簡潔に伝わってきます。

正五九祭:桝箕稲荷神社の祭事

桝箕稲荷神社の特徴的な祭事として「正五九祭(しょうごくさい)」があります。これは正月、五月、九月の各第二日曜日に執り行われる祭事で、神社の重要な年中行事となっています。

正五九祭とは

正五九祭は、年に三回、正月・五月・九月の各月の第二日曜日に行われる祭礼です。この祭事は、五穀豊穣と地域の安寧を祈願するもので、古くから坂町の人々に親しまれてきました。

  • 正月の祭事: 新年の五穀豊穣と一年の無事を祈願
  • 五月の祭事: 田植えの時期に合わせた豊作祈願
  • 九月の祭事: 収穫への感謝と秋の実りを祝う

この三つの時期は、農業のサイクルにおいて重要な節目であり、稲荷神社としての性格を色濃く反映した祭事といえます。

祭り・行事一覧(2026年度)

2026年度の桝箕稲荷神社の主な祭事は以下の通りです(※日程は変更される場合がありますので、参拝前に確認されることをお勧めします):

  • 1月第2日曜日: 正月祭(新年祈願祭)
  • 5月第2日曜日: 五月祭(豊作祈願祭)
  • 9月第2日曜日: 九月祭(収穫感謝祭)

これらの祭事の際には、地域の氏子や崇敬者が集まり、神社は普段以上に賑わいを見せます。小規模な神社ながら、地域コミュニティの絆を深める重要な機会となっています。

境内の見どころ

社殿

桝箕稲荷神社の社殿は、規模こそ小さいものの、丁寧に維持管理されており、立派な佇まいを見せています。稲荷神社らしい朱塗りの要素を持ちながら、周囲の住宅街に溶け込むような落ち着いた雰囲気があります。

社殿の前には小さな賽銭箱が置かれ、参拝者を静かに迎えています。都心の喧騒から離れた静謐な空間で、ゆっくりと参拝できる環境が整っています。

枡箕児童公園との一体性

桝箕稲荷神社の大きな特徴は、枡箕児童公園に隣接していることです。神社と公園が一体となった空間は、地域住民の憩いの場所として機能しており、子どもたちの遊び声が聞こえる中で、神社が地域に根ざした存在であることを実感できます。

この配置は、神社が単なる宗教施設ではなく、地域コミュニティの中心として機能していることを象徴しています。

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる

桝箕稲荷神社が鎮座する場所は、地形的に舌状台地の先端部に位置しています。舌状台地とは、河川の浸食によって形成された、舌のように突き出た台地のことです。

古代から人々は、このような台地の先端部を聖地として選び、神々を祀ってきました。見晴らしが良く、水源に近く、防御にも適したこのような場所は、集落の守護神を祀るのに最適だったのです。

桝箕稲荷神社を訪れる際には、この地形的な特徴に注目し、なぜ祖先の人々がこの場所を選んだのか、その理由に思いを馳せてみるのも興味深い体験となるでしょう。現代の住宅街の中にありながら、古代からの信仰の連続性を感じることができる貴重な場所です。

アクセス情報

最寄駅・路線

桝箕稲荷神社へのアクセスは、以下の鉄道駅が便利です。

都営新宿線 曙橋駅
  • 所要時間: 徒歩約6~8分
  • 出口: A2出口またはA4出口が便利
  • ルート: 曙橋駅から東方向へ進み、住吉町方面へ。坂町の住宅街に入ると、枡箕児童公園の看板が見えてきます。

曙橋駅は都営新宿線の駅で、新宿方面からも市ヶ谷方面からもアクセスしやすい立地です。駅から神社までは平坦な道が続き、歩きやすいルートとなっています。

その他の最寄駅
  • JR中央・総武線 四ツ谷駅: 徒歩約15分
  • 東京メトロ丸ノ内線 四谷三丁目駅: 徒歩約12分

これらの駅からも徒歩圏内ですが、曙橋駅からのアクセスが最も便利です。

最寄のバス停・路線

公共バスを利用する場合は、以下のバス停が利用できます。

  • 都営バス: 「住吉町」バス停または「坂町」バス停下車、徒歩約3~5分
  • 運行路線: 都営バスの複数路線が四谷エリアを通過しています。

バスの利用は、新宿駅や四谷駅からのアクセスに便利ですが、運行本数や時刻表を事前に確認することをお勧めします。

自動車でのアクセスと駐車場

桝箕稲荷神社には専用の駐車場がありません。自動車で訪れる場合は、近隣のコインパーキングを利用する必要があります。ただし、住宅街の中にあるため、道路が狭く、駐車スペースも限られています。

公共交通機関の利用を強くお勧めします。特に祭事の日には、地域住民の方々も多く訪れるため、自動車でのアクセスは避けた方が良いでしょう。

アクセス時の注意点

  • 住宅街の中にあるため、騒音に注意: 参拝の際は、周辺住民の方々への配慮を忘れずに。
  • 夜間の参拝: 境内に常時照明があるわけではないため、明るい時間帯の参拝をお勧めします。
  • 雨天時: 境内は小規模で屋根のある部分が限られているため、雨具の準備をお勧めします。

桝箕稲荷神社の御朱印情報

桝箕稲荷神社は小規模な神社であり、常駐の神職がいない場合があります。御朱印については、以下の点に注意が必要です。

御朱印の授与について

桝箕稲荷神社では、常時御朱印の授与が行われているわけではありません。御朱印を希望される場合は、正五九祭などの祭事の日に訪れるか、事前に問い合わせをすることをお勧めします。

小規模な神社のため、御朱印授与の体制が整っていない場合もありますが、それは神社の価値を損なうものではありません。むしろ、地域に根ざした素朴な信仰の形を今に伝える貴重な存在といえます。

参拝のマナー

御朱印の有無にかかわらず、以下の基本的な参拝マナーを守りましょう:

  1. 鳥居をくぐる前に一礼
  2. 手水舎があれば手と口を清める
  3. 賽銭箱の前で二礼二拍手一礼
  4. 境内では静かに、周囲への配慮を忘れずに

周辺の見どころ・神社仏閣

桝箕稲荷神社を訪れた際には、周辺の四谷エリアにある他の寺社も併せて巡ることができます。

須賀神社

四谷の総鎮守として知られる須賀神社は、桝箕稲荷神社から徒歩約15分の距離にあります。映画「君の名は。」の舞台としても有名になった神社で、多くの参拝者が訪れます。

於岩稲荷田宮神社

四谷怪談で有名なお岩さんにゆかりのある神社で、桝箕稲荷神社から徒歩約10分の場所にあります。歌舞伎や演劇関係者の信仰を集めています。

東長寺

四谷エリアには複数の寺院もあり、神社巡りと併せて寺院巡りも楽しめます。歴史ある寺院が点在しているため、時間に余裕があれば散策してみるのもお勧めです。

桝箕稲荷神社の魅力:小さくても歴史ある地域の守り神

桝箕稲荷神社の最大の魅力は、都心の住宅街の中にありながら、江戸時代から続く地域の信仰を今に伝えている点です。大規模な神社のような華やかさはありませんが、地域に根ざした素朴な信仰の形が、現代においても大切に守られています。

地域コミュニティとの結びつき

枡箕児童公園に隣接し、地域の人々の日常生活の中に溶け込んでいる桝箕稲荷神社は、神社が本来持っていた「地域の中心」としての役割を今も果たしています。正五九祭の際には地域の人々が集まり、神社を中心としたコミュニティの絆が確認される場となっています。

江戸時代の歴史を伝える社名

「桝箕」という独特の社名は、江戸幕府の恩賜米配分という歴史的事実を今に伝えています。この社名を通じて、江戸時代の人々の生活や、幕府の統治システムの一端を垣間見ることができます。歴史好きにとっては、小さな神社の中に大きな歴史のロマンを感じられる場所といえるでしょう。

五穀豊穣の祈り

稲荷神社として五穀豊穣を司る桝箕稲荷神社は、現代においても食への感謝や豊かな実りへの祈りを捧げる場所です。都市化が進んだ現代だからこそ、食の大切さを改めて考える機会を与えてくれる神社といえます。

参拝の際の注意事項

桝箕稲荷神社を訪れる際には、以下の点に注意してください。

住宅街の中の神社であることへの配慮

神社は住宅街の中にあり、周辺には多くの住民の方々が生活しています。参拝の際は、以下の点に特に注意しましょう:

  • 大声での会話は控える
  • 写真撮影の際は周囲への配慮を忘れずに
  • ゴミは必ず持ち帰る
  • 路上駐車は絶対に避ける

小規模神社ならではの制約

桝箕稲荷神社は小規模な神社であり、以下のような制約があることを理解した上で訪れましょう:

  • 社務所が常時開いているわけではない
  • トイレなどの設備がない場合がある
  • 御朱印の授与が限られている
  • お守りや絵馬などの授与品が常時用意されていない場合がある

これらは神社の価値を損なうものではなく、むしろ地域に根ざした素朴な信仰の形を伝えるものです。大規模な観光神社とは異なる、静かで落ち着いた参拝体験ができる点を魅力として捉えましょう。

まとめ:桝箕稲荷神社で感じる江戸の歴史と地域の絆

東京都新宿区四谷坂町に鎮座する桝箕稲荷神社は、江戸時代初期の元和年間に創建された歴史ある神社です。当初は「真須美稲荷」と呼ばれ、五穀を司る神社として信仰されてきましたが、江戸幕府がこの地で恩賜米の配分を行っていたことから、「桝箕」という独特の社名を持つようになりました。

御祭神は宇迦能御魂大神、猿田彦命、大宮売神の三柱で、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、開運招福の御神徳があります。正月・五月・九月の各第二日曜日には正五九祭が執り行われ、地域の人々が集まる重要な祭事となっています。

アクセスは都営新宿線の曙橋駅から徒歩約6~8分と便利で、枡箕児童公園に隣接する静かな境内は、都心にありながら落ち着いた参拝ができる空間です。小規模な神社ながら、江戸時代から続く地域の信仰を今に伝える貴重な存在として、坂町の守護神として大切に守られています。

桝箕稲荷神社を訪れることで、大規模な観光神社とは異なる、地域に根ざした素朴な信仰の形に触れることができます。江戸時代の歴史を伝える社名、舌状台地の先端という地形的な特徴、そして地域コミュニティとの深い結びつき。これらすべてが、桝箕稲荷神社の魅力を形作っています。

四谷エリアを訪れた際には、ぜひ桝箕稲荷神社に足を運び、小さくても歴史ある神社の静かな魅力を体験してみてください。

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